新型コロナウイルスが世界的に広がり始めてから約1年。感染防止のため家で過ごす時間が増える一方、「密」を避けながら屋外で気分転換できるドライブの人気が高まっている。今回は子どもの守り神として知られる津嶋神社(三豊市三野町)を昼ごろに出発し、海と山の絶景を一度に堪能できる荘内半島を巡ってみた。


海岸から津嶋神社を望む=三豊市三野町


 津嶋神社は毎年8月4、5日の夏季大祭期間だけ海岸から沖合の島に架かる橋に足場をしつらえるため、2月上旬のこの日は閉鎖中。海岸側の遥拝(ようはい)殿から、県内の子どもらが元気に走り回れる日が早く来るようお参りした。気分が落ち着いたところで、海辺を通る市道久保谷海岸線を経由し、さぬき浜街道から西に出て一路荘内半島へ。

 荘内半島は浦島太郎伝説でも有名だ。運転中も、バス停の標識や案内板に竜宮城のデザインがあしらわれているのが目についた。同市詫間町から荘内半島を囲むように走る県道232号はきれいに舗装されており、山道だが走りやすい。木立が途切れるたびに見える瀬戸内海や島々は美しく、近くに駐車場がないのが惜しいほどだ。

 マーガレットが咲く前の「フラワーパーク浦島」や2014年にオリーブの植樹が始まった「荘内半島オリーブ農園」を通り過ぎ、浦島太郎が玉手箱を開けたとされる同町箱の箱浦漁港に立ち寄った。そこには地元有志が設置した「常世亀(とこよがめ)」という石像がある。常世亀は竜宮城の方角を見ているそうだが、その視線は粟島に向いているようにも見えた。

 箱浦漁港から再び県道232号を走り、浦島太郎の生誕地とされる生里を経て紫雲出山へ。ここは桜の名所として世界的に知られるようになった。開花時期には通行が制限されるが、この日は入山できた。曲がりくねった山道を10分ほど登って第1、2駐車場でそれぞれ深呼吸。花芽をつけた桜の枝越しに粟島や高見島を望む絶景に、しばし時を忘れて見入ってしまった。


紫雲出山からの光景。桜の枝越しに粟島などの多島美が楽しめる=三豊市詫間町


 下山後は、干潮時には海岸から続く道ができる鴨之越・丸山島に立ち寄りながら「瀬戸内海の天空の鏡」と呼ばれる父母ケ浜(三豊市仁尾町)に到着。午後3時すぎの父母ケ浜はやや風があって鏡面とまではいかなかったが、老若男女が思い思いに散らばって開放感を味わっていた。

 所要時間は津嶋神社から休憩を挟んで3時間ほど。今度は桜咲く春に訪ねてみようと思った。



(四国新聞・2021/02/13掲載)


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