香川県丸亀市中心部の通町商店街にあり、休憩所やギャラリーとして活用されている交流施設「秋寅(あきとら)の館」に、専門学校生が制作したオブジェなどがお目見えした。同館の建物の由来や丸亀市沖の塩飽諸島などをモチーフに考案した3点の作品で、同館を訪れる市民の目を引いている。

 丸亀商工会議所と中央商店街振興組合連合会、市、穴吹デザインカレッジ(高松市)が商店街のにぎわい創出を目的に実施している産官学連携事業の一環。前年度までの2年間は、学生が手掛けた商店街の冬のイルミネーションが好評を博し、本年度は秋寅の館内に常設する照明付きのインテリア制作を新たに企画した。

 穴吹デザインカレッジトータルインテリア学科の建築や家具デザインなどを志す学生48人が6班に分かれ、学内のコンペに2案ずつ提出。丸亀商工会議所や中央商店街振興組合連合会の担当者らがデザインやコンセプトなどを基に審査し、上位の3作品を学生たちが制作した。


「ダマスカス鋼」の木目の模様をイメージしたオブジェ=丸亀市通町、秋寅の館


 「ダマスカス」という名の木製オブジェは、秋寅の館が大正末期~昭和初期に建築された鋼材商の「秋山寅吉商店」の元社屋で、交流施設として再活用されていることに着目。鋼材と再活用をキーワードに、現在では作ることができないという「ダマスカス鋼」の再現を思いつき、その特徴の木目模様をイメージしたオブジェに仕立て上げ、内部の照明で照らし出した。


長椅子「まばたき」に座ると、頭上に浮かぶ塩飽諸島の模型「ハレノヒ」が目に入る


 2、3人掛けの木製の長椅子「まばたき」は、座面の下に設けた空間に照明を収め、その空間に本などを出し入れすることで“光のまばたき”をしているかのように見えるという意匠。「まばたき」に座って上を見ると、天井からつり下げられた「ハレノヒ」のオブジェが目に入る。本島や広島など丸亀沖の塩飽諸島の5島を、天空に浮かぶ非日常の「ハレ」の島と捉え、アクリル板で制作した5島の模型をつるし、その上部に照明を設置した。

 今月から秋寅の館内に設置。通町商店街を行き交う人が立ち寄り、オブジェを鑑賞したり、写真を撮影したりしている。トータルインテリア学科2年の学生は「秋寅の館から着想を得て、すごく考えながら仕上げた作品。これを目当てに来館する人が増えたらいいなと思う」と話した。

 秋寅の館の開館時間は10:00~から17:30まで。水曜休館。

(四国新聞・2021/02/23掲載)



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