四国地方が15日に梅雨入りし、1951年の統計開始以降で最も早く雨の季節を迎えた。晴れ間を狙って高松の奥座敷と呼ばれる塩江エリアを訪ね、降雨で潤った野山が広がる香東川水系のフォトスポットを巡った。


勢いよく水が流れ落ちるさまが見事な不動の滝=香川県高松市塩江町

勢いよく水が流れ落ちるさまが見事な不動の滝=香川県高松市塩江町


 まずは国道193号を南下して、北井谷川にある不動の滝(香川県高松市塩江町安原上東)へ向かった。滝は落差約40メートル。弘法大師が修行をしていると不動明王が現れたという伝説がある神秘的な場所だ。滝まで徒歩数分のところにある駐車場に車を止めると涼しげな水音が聞こえてくる。若葉が生い茂るモミジのトンネルをくぐって歩いて行くと、不動の滝が眼前に広がった。

 前日に雨が降ったためか、滝の水量は十分。花こう岩に沿って、水が勢いよく流れ落ちるさまは見事のひと言。階段と岩場を下れば滝つぼ付近まで近づくことができ、写真愛好家がレンズをのぞき込んでいる姿があった。この日はうまく見つけることができなかったが、岩場の左手中腹には不動明王を意味する梵(ぼん)字「カーン」などが岩肌に刻まれているという。同町の住民らでつくる「安原文化の郷歴史保存会」の藤沢保さんによると、岩場の文字は弘法大師自らが彫ったというから驚きだ。

 滝を眺めて癒やされた後は、香川県内最古のダムとして知られる内場ダム方面へ。「道の駅しおのえ」の手前の交差点から西に続く県道7号(美馬塩江線)の脇には展望台がいくつか設けられ、ダムの威容を撮影するには絶好のポイントになっている。展望台でカメラを構えると、ダムが木立の緑に映えて要塞(ようさい)のようにも見えた。


展望台からは要塞のようにも見える内場ダム=香川県高松市塩江町

展望台からは要塞のようにも見える内場ダム=香川県高松市塩江町


 ダムからさらに6キロほど道なりに走ると、奥塩江と呼ばれるエリアに「奥の湯公園」(香川県高松市塩江町上西)がある。公園内はキャンプ場になっており、敷地内を流れる小出川で川遊びをしたりバーベキューをしたりできるが、現在は新型コロナウイルスの影響で31日まで閉鎖中。県内屈指の紅葉スポットでもあるため、今後を楽しみに道の駅まで引き返した。

 最後は、現在も建設が進む多目的の「椛川(かばがわ)ダム」を訪ねた。県道106号(穴吹塩江線)から町道椛川東西線に入ると、広い田んぼの向こうにそびえ立つ白い堤体が見えた。同ダムは運用前の試験湛水(たんすい)が3月に始まったばかり。およそ3年半かけて安全性を確かめ、問題がなければ県内一の貯水量を誇る新たな水がめが誕生する。渇水が多い県だけに本格運用への期待を込めてシャッターを切った。

(四国新聞・2021/05/22掲載)

不動の滝


内場ダム



関連情報