史跡高松城跡で復元工事 「桜御門」、上棟祝う 伝統儀式で安泰祈願 来年1月末に80年ぶり雄姿
香川県高松市玉藻町の史跡高松城跡で6日、約80年ぶりの雄姿に向けて市が復元整備を進めている「桜御門」の上棟を祝う工匠式が開かれた。棟木を紅白の綱で引き上げる「曳綱(ひきづな)の儀」などの伝統儀式が古式にのっとって執り行われ、約30人の出席者が建物の末永い安泰を祈願するとともに、上棟の節目を祝った。来年1月末に完成予定。
桜御門は、披雲閣の正門に当たる櫓(やぐら)門。1944年に国宝に指定されることが決まっていたものの、翌年7月の高松空襲で焼失した。市は復元を目指し、2016年度までに石垣の積み直しを行い、2019年から整備工事に着手している。
工匠式では、「曳綱の儀」をはじめ、棟木を屋根の一番高い位置に納める「槌打(つちうち)の儀」などの平安時代から伝わる儀式を当時の様相さながらに再現。このうち「曳綱の儀」では、古式ゆかしい装束をまとった工匠らの掛け声に合わせ、参加者全員で「えい、えい、えーい」と声を上げ、棟木に結んだ綱を引いた。
復元される櫓門は、幅約12メートル、奥行き約5メートル、高さ約9メートル。門の扉上部には見張り小屋が設けられる。くぎなどの金物を使わずに柱や梁(はり)を組み立てていく伝統的な手法で整備を進めており、現在約半分まで工事が進んでいる。総工事費は約2億9150万円。
高松市文化財課は「完成に向け、日々変わっていく姿を多くの市民に見てもらえれば」と話していた。
(四国新聞・2021/06/07掲載)
史跡高松城跡
所在地 | 香川県高松市玉藻町2番1号 |
---|---|
TEL | 玉藻公園管理事務所 087-851-1521 |