美術団体「創元会」(本部・東京、小川尊一理事長)による公募展の秀作を紹介する「80周年記念創元展香川巡回展」が15日、香川県高松市紺屋町の市美術館で始まった。具象から抽象まで自由に表現した個性豊かな意欲作が並び、作家たちのデッサン力の高さが来場者の関心を集めている。20日まで。


個性豊かな意欲作が並ぶ「80周年記念創元展香川巡回展」=香川県高松市紺屋町、市美術館

個性豊かな意欲作が並ぶ「80周年記念創元展香川巡回展」=香川県高松市紺屋町、市美術館


 創元会は、文展(現在の日展)で活躍した洋画家11人が1940年に設立。翌年から公募展を始め、今年で80回目を迎えた。展覧会は3月末から4月12日まで東京都の国立新美術館で開催。その後の巡回展は大阪や福岡など計9カ所で開く予定で、香川は4カ所目の開催地となる。

 会場には、東京本展からの選抜作品約80点と、同会香川支部(渡辺正幸支部長)の会員による作品約20点を展示。最高賞の文部科学大臣賞に選ばれた兵庫県の冨士佳勇さん(77)の「ホルンのある静物」は、木造の台に楽器のホルンやガラスの角瓶、カボチャなどを配した油彩画。質感の描き分けが印象的で、ホルンの触り心地や重みまでを思わせる。

 県人では、香川県丸亀市天満町の小橋章子さん(80)が南仏の田舎町を描いた油彩画「響」で同会創設者の名前を冠する中野和高賞を受賞。屋根の補修跡や窓辺に干した洗濯物などを細かく描いており、人々の営みと歴史が感じ取れる。

 初日に友人と訪れた高松市元山町の主婦、佐藤真智子さん(67)は「想像力をかき立てられる作品ばかりで、私も絵を描きたくなる」と笑顔を見せていた。

(四国新聞・2021/06/16掲載)

高松市美術館


所在地 香川県高松市紺屋町10-4
TEL 087-823-1711


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