江戸時代に活躍した香川ゆかりの文人画家とその作品を紹介する「描いて、眺めて 讃岐の文人画」が、香川県高松市玉藻町の香川県立ミュージアムで開かれている。中国文化への憧れを画題や作風に反映しつつ、それぞれのスタイルを確立した画家の世界観や各人の交友ぶりがうかがえる。8月8日までだが、7月23日から26日は県展の作品搬入のため臨時休館となる。

 「描いて、眺めて 讃岐の文人画」展では、いずれも讃岐出身の文人画家・長町竹石(1757~1806年)や、篆刻(てんこく)家として高い評価を得た一方で日本各地に滞在して多数の文人画を残した細川林谷(1780~1843年)ら7人を紹介。山水や人物を描いた軸やびょうぶなど計15点が並ぶ。

 このうち、竹石の作品は、木の葉や山の表現に中国古画の影響が見られる初期の軸や、晩年の江戸滞在中に描いたとされる軸「五剣山図」を展示。五剣山図は、山の特徴的な輪郭を繊細に表現しており、竹石が故郷に寄せていた思いが伝わってくる。

 林谷の作品は、愛知県を旅した際に描いた巻物「山水画巻」など4点を出品。山並みや道を行く人馬を大胆な筆遣いで捉え、生き生きと描き出している。

 このほか、竹石の山水図に同郷の儒学者で江戸幕府に仕えた柴野栗山が詩や文章を添えた作品や、晩年に讃岐へ移住した文人画家の人物画などもあり、当時の讃岐で活躍した人々の交友の広さや多様性が見て取れる。


江戸時代に活躍した讃岐ゆかりの文人画家の軸やびょうぶが並ぶ作品展=高松市玉藻町、県立ミュージアム


(四国新聞・2021/07/19掲載)

香川県立ミュージアム


所在地 高松市玉藻町5番5号
開館時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 毎週月曜日(月曜日が休日の場合は、原則として翌火曜日)
※7,8月の休館日は変則的となっているため、ミュージアムのホームページでご確認ください
TEL (代表・総務課)087-822-0002/(学芸課)087-822-0247


香川県立ミュージアム


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