香川県高松市の漆芸家・西岡春雪(87)の代表作を集めた作品展が、香川県高松市番町の県文化会館で開かれている。素地に木綿のひもを使った「縄胎(じょうたい)」と呼ばれる技法を用い、味わい深く表情豊かに仕上げた漆器22点が会場を彩っている。8月29日まで。


縄胎漆器の作品が並ぶ西岡春雪展=高松市番町、県文化会館


 作品展のタイトルは「縄胎漆器の世界 西岡春雪展」。西岡は漆職人として香川県高松市の漆器店に勤める傍ら、香川県漆芸研究所の第1期生として研さん。地元の漆芸家・磯井如真や香川宗石らに学び、全国公募展などで多くの賞を受賞した。今展を主催する県漆芸研究所によると、縄胎を用いる漆芸家は県内でも少ないという。

 このうち、日本伝統工芸展の入賞作「縄胎朱塗食籠(しゅぬりじきろう)」は、渦巻き状にしたひもを素地に貼り付け、その上に伝統的な朱漆を塗り重ねた作品。表面にうっすらと浮かび上がるひもの波紋が柔らかい素材感を醸し出している。側面に施した朱色のグラデーションも目を引く。

 このほか「縄胎流水(りゅうすい)食籠」は、ひもを緩やかな波線のように貼り付けることで水の流れを表現した作品。漆に銀粉を混ぜて表面に輝きを出したものもあり、西岡のさまざまな技法が見て取れる。

 香川県漆芸研究所の山田万里江実習指導員は「漆芸王国の香川でも珍しい縄胎の作品をぜひこの機会に鑑賞してほしい」と来場を呼び掛けている。

 入場無料。問い合わせは香川県漆芸研究所、電話087-831-1814。

(四国新聞・2021/08/19掲載)

「縄胎漆器の世界 西岡春雪展」


所在地 香川県高松市番町1-10-39(香川県漆芸研究所)
開催期間 2021/07/16(金曜日)~2021/8/29(日曜日)
観覧料 無料
TEL 087-831-1814


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