香川県三豊市出身の洋画家狩野裕子さん(65)=神奈川県在住=の作品を集めた企画展「~故郷への想(おも)い~狩野裕子展」が香川県丸亀市中津町の中津万象園・丸亀美術館で開かれている。香川県三豊、観音寺両市の風景を切り取った「三豊百景」をはじめ、狩野さんが精力的に描いている「裸婦」や「桜」をテーマにした作品など計68点を展示している。10月3日まで。


作品について意見を交わす狩野さん(右)と清水さん=丸亀市中津町、中津万象園・丸亀美術館


 狩野さんは30代で油絵を始め、ライフワークとしてきた三豊百景は、昨年まで14年の歳月をかけて完成させた。企画展では第100景の「有明浜からの瀬戸の夕日」のほか、「ちょうさ祭り」「紫雲出山」「三豊平野のたまねぎ坊主畑」などの作品が並べられており、なじみ深い風景を柔らかな色使いで描いている。

 狩野さんが描く桜は「狩野桜」と呼ばれ、パステルで線を重ねながら描いた独特のタッチが特徴。三豊百景の作品の中でも多く取り入れられている。

 三豊百景は完成後、香川県内で初披露となり、28日に中津万象園・丸亀美術館を訪れた美術評論家の清水康友さん(67)は「画家になってから郷里に目を向けたことに意義がある。何気ない風景も画家の目だから美しく描き出せた」と評価。狩野さんは「時間を掛けた分、多くの人と関わってきた。香川とつながることができたと実感している」と話していた。

 水曜休館。開館時間は午前9時半~午後5時。観覧料は一般500円ほか。問い合わせは中津万象園・丸亀美術館 0877-23-6326。


(四国新聞・2021/08/29掲載)


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