香川県小豆郡小豆島町馬木の旧醤油(しょうゆ)会館を改装した私設美術館「醤(ひしお)の郷(さと)現代美術館」が1日、プレオープンした。香川県出身の洋画家猪熊弦一郎や環境アーティストとして知られるクリストら多彩な作家陣による絵画や造形物など約110点を展示。地元住民らが早速鑑賞に訪れ、新たなアートの拠点の誕生を喜んだ。グランドオープンは第5回瀬戸内国際芸術祭の開幕に合わせ、来年4月の予定。

 馬木地区で芸術文化の発信に取り組む小豆島アートプロジェクト(石井純代表)が、古民家を活用したアート空間「ジョルジュ・ギャラリー」に続く第2弾として整備。旧醤油会館を町から借り受けて今年1月から改装を行い、滞在制作してもらった新進気鋭の日本人現代アーティストの力作や、オークションなどで収集した著名作家らの作品を並べた。


来場者に作品について解説する石井代表(左端)=小豆島町馬木、醤の郷現代美術館


 館内には、小豆島のオリーブの絵を描いて天皇陛下に献上し、多くの画家に来島を勧めた猪熊をはじめ、香川県高松市在住の現代美術家川島猛さん、世界的に活躍する村上隆さん、横尾忠則さんらの作品がずらり。小豆島にアトリエを構えた古家新さんや、瀬戸芸に参加した康夏奈さんら島ゆかりの作家が手掛けた絵画もあり、来場者は受付で配布された作品解説書を手に会場をゆっくりと巡っていた。

 昨年4月に神奈川県逗子市から香川県小豆郡小豆島町苗羽に移り住んだ神尾守さん(66)、里美さん(64)夫妻は「近所にこんな素晴らしい美術館ができて感激。芸術は詳しくないが、自分たちの感性で作品を楽しんでいる」と笑顔で話した。

 美術館長も務める石井代表は「皆さんに喜んでもらえる作品をそろえたつもり。新型コロナウイルスが感染拡大している状況下だが、じっくりと作品に触れてほしい」と話している。

 入場料は1500円(15歳未満は無料)。

(四国新聞・2021/09/02掲載)


醤の郷現代美術館



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