画家クロード・モネが憧れた青いスイレンが山里にひっそりと―。香川県三豊市財田町の香川用水調整池、宝山湖の上流にある「財田里山ビオトープ」で、珍しい青いスイレンが爽やかな花を咲かせ、訪れた人たちが盛んにカメラを向けている。約1キロ下流の湖畔では、3万~4万本あるというヒガンバナが今月下旬に見頃を迎え、両方の花をめでることができる。


爽やかな青い花を咲かせ、訪れた人たちを楽しませているスイレン=三豊市財田町、財田里山ビオトープ


 熱帯性植物の青いスイレンは、フランス印象派の巨匠のモネ(1840~1926年)がフランス・ジベルニーの自宅の庭で咲かせようと試みたが、気温が低く果たせなかったとのエピソードが残る。

 ビオトープの青いスイレンは、近くの農業、図子忠義さん(84)が高知県北川村のモネの庭マルモッタンで購入し、自宅で栽培していた苗を5年ほど前に移植した。図子さんは、ビオトープの管理について水資源機構香川用水管理所(琴平町)から委託を受けている三豊シルバー人材センターのメンバーで、ボランティアで世話を続けている。

 約50株が300平方メートルほどの細長いビオトープの水面を彩り、一部に赤紫や白色の花も交じる。本格的に花をつけたのは7月で、今の時季は9:00ごろに咲き始め、午後5時ごろに花を閉じる。閉じる時間は次第に早まるが、11月上旬まで楽しめる見込み。

 昨年も訪れたという善通寺市与北町の片岡加代さん(51)は「水に映り込んだ姿がきれいで癒やされる。去年より株が大きくなり、花も増えた気がする」と長い間たたずみ、飛び交う赤トンボが花に止まる瞬間を写真に収めようとシャッターチャンスを狙っていた。

 湖畔のヒガンバナの世話も長年続けてきた図子さんは「ヒガンバナは見頃が10日間くらいだが、スイレンは150日近く花を楽しめる」と話し、穴場スポットとして知られるようになったことを喜んでいる。

(四国新聞・2021/09/17掲載)



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