高松工芸高校教諭の蔵本秀彦さん(56)と神奈川県の美術家・水谷一さん(45)による企画展「国讃(くにほ)めと屍(しかばね)」が、香川県高松市亀水町の瀬戸内海歴史民俗資料館・瀬戸内ギャラリーで開かれている。「海と鎮魂」をテーマにした2人のアート作品が、古い木造船が並ぶ瀬戸内の雰囲気漂う会場に溶け込むように展示されている。12月19日まで。


「海と鎮魂」をテーマにした作品が並ぶ企画展=香川県高松市亀水町、瀬戸内海歴史民俗資料館


 蔵本さんは高松工芸高校で教壇に立つ傍ら精力的に創作活動を展開、水谷さんは瀬戸内国際芸術祭に参加するなど香川で多数の活動実績がある。企画展のタイトルは、歌人・柿本人麻呂が沙弥島(香川県坂出市)で人の死骸を目の当たりにした際に詠んだ歌から着想を得たという。展示を通して人の生と死について考えてもらうのが狙い。

 蔵本さんは巨大な津波が発生した東日本大震災が題材の油彩画11点を出品。自身の中で震災を風化させないために描いたといい、がれきが残る福島の海辺の様子を心象風景のように表現している。水谷さんはお盆の風習である精霊流しの供え物をイメージし、石こうで作ったリンゴを床に設置。リンゴは木造船や漁具が並ぶ隣の常設展示の中にもあり、瀬戸内の歴史・民俗にも思いをつなげてもらう工夫が施されている。

 地域の作家支援を行う「瀬戸内アートコレクティブ」(高松市)と瀬戸内海歴史民俗資料館の共催展。会場を映した仮想現実(VR)を「瀬戸内アートコレクティブ」のホームページで公開している。また、2人が参加するトークイベント(要予約)を21日午後2時からサンポート高松で行う。

 入場無料。問い合わせは瀬戸内海歴史民俗資料館、電話087-881-4707。

(四国新聞・2021/11/17掲載)


瀬戸内アートコレクティブ


瀬戸内海歴史民俗資料館

瀬戸内海歴史民俗資料館 国讃めと屍展


所在地 香川県高松市亀水町1412-2
会期 2021年10月1日(金)~2021年12月19日(日)
開館時間 9:00~17:00 (入館は16:30まで)
休館日 月曜日
入館料 無料
TEL 087-881-4707


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