香川県さぬき市寒川町の「門入(もんにゅう)の郷(さと)」は、1999年の門入ダム完成に合わせて整備された憩いの場。ダムを囲むように展望広場や公園が広がり、各所に芸術的な構造物を設置。自然とアートの融合が味わえる施設になっている。来春の瀬戸内国際芸術祭を前に、アートな空間に改めて触れてみようと12月中旬に訪ねてみた。

 高松市内から県道10号、同264号を通り、車で約40分。ダム西側の道を進んでいくと、2本の石柱にステンレスの板を交差させた大きなモニュメントが目を引く記念公園が見えてきた。モニュメント「門入」はダムの完成を記念して設置されたもので、遠目に見ると石柱部分が「門」、ステンレス部分が「入」という字に見えるようにデザインしたのだという。


山上公園の遊歩道から、門入ダムと鳥居越しにさぬき市の街並みを望む

山上公園の遊歩道から、門入ダムと鳥居越しにさぬき市の街並みを望む


 モニュメントを鑑賞した後は道路を渡り、階段の遊歩道が続く山上公園を目指した。標高180メートルの山頂までは階段を約260段上り、木造の鳥居を2基くぐって向かう。修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)を祭っているとされる古いお堂(山上神社)を通り過ぎ、さらに数分進んだ地点が山頂だ。

 山頂付近は草木が生い茂っているが、鳥居の近くまで戻ると視界が一変する。前方には鳥居越しにさぬき市の街並みが広がり、右手からは門入ダムを一望できる。開放感抜群の光景を見ていると、坂道での疲れが吹き飛ぶようだ。東讃の「天空の鳥居」をしばし楽しんでから、ダムの東西を結ぶ橋を渡って東側に向かった。

 ダムの東側には12本の石柱とアーチ状の石で季節や天体を表現したモニュメント「風の門」がある。風の門は門入と同じくダムの完成を記念して作られたもので、瀬戸芸の会場の一つにもなっている犬島(岡山県)で採った石を使っているそうだ。


真っ赤な橋桁が目を引く門入ブリッジ

真っ赤な橋桁が目を引く門入ブリッジ


 再び記念公園に戻り、最後は門入ダムの南方に位置する温浴施設「カメリア温泉」エリアに向かった。真っ赤な橋桁が鮮やかな「門入ブリッジ」や、迷路のような構造の「椿(つばき)の城」が緑豊かな自然の中に立つ空間はなんとも壮観。散策でたっぷり汗をかいた後は、カメリア温泉でリラックスするのも良さそうだ。

 カメリア温泉は12月から、門入ブリッジと椿の城でのイルミネーションを試験的に始めた。点灯は日没から日付が変わるころまでで、終了時期は未定。今度は、日中とはひと味違ったアートな空間に浸ってみようか。

(四国新聞・2021/12/25掲載)

門入の郷


所在地 香川県さぬき市寒川町石田東門入


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