高松市美術館(香川県高松市紺屋町)で、高松市美術館の学芸員体験事業に参加した県内の中高生による展覧会「現象~移ろう世界~」が開かれている。高松市美術館の収蔵品の中から多彩な「現象」をモチーフにした作品を生徒たち自らが厳選して紹介。展示を通じ、多様な視点で物事を捉える重要性も伝えている。3月9日まで。


学芸員体験事業に参加した県内の中高生による展覧会場=高松市紺屋町、市美術館


 キュレーター(学芸員)の卵を意味する「キュレたま企画」と銘打った高松市美術館の事業で、学芸員の仕事や美術館の役割に理解を深めてもらうのが狙い。昨年5~10月に計5回開かれた体験講座に中学2年~高校3年の約10人が参加し、生徒たちが話し合って決めたテーマ「現象」を基に絵画や造形作品など23点を並べている。

 展示作品のうち、名和晃平(大阪府出身)の「PixCell[Shoe♯6(L)]」は、1足のシューズを入れた透明な箱に特殊なシートを貼った現代アート。鑑賞する角度によってシューズが二重に見えたり姿を消したりする現象が見られ、「目に入った一つの情報だけを信じて物事を判断することはありませんか」との生徒の問い掛けと一緒に紹介している。

 巨大なキャンバスに生命の移ろいを表現した小林正人(東京都出身)の抽象画は、タイトルを伏せて展示。作品から想像できるタイトルをノートに記入するコーナーを設けており、他者の書き込みを見ると鑑賞する視点や印象が人によって異なることが分かる。

 空に浮かぶ雲を捉えた彫刻や、レースカーテンを雪山のような形に仕立てた作品なども並び、さまざまな「現象」を感じ取ることができる。
 入場料は一般200円ほか。問い合わせは高松市美術館、電話087-823-1711。

(四国新聞・2022/01/27掲載)

高松市美術館


所在地 香川県高松市紺屋町10-4
営業時間 9:30~17:00
定休日 月曜日(祝休日の場合は翌平日)
TEL 087-823-1711


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