香川県綾川町の地域おこし協力隊員、金盛友彦さん(40)が地元住民の協力を得ながら同町西分地区の魅力を広める活動に励んでいる。第1弾として讃岐七富士の一つ、高鉢山(標高512メートル)の風穴近くに解説板を整備した。今後は空き家を活用したイベントなどを計画している。


高鉢山風穴の近くに整備した解説板と、設置に取り組んだ金盛さん(右)、山下さん=香川県綾川町西分

高鉢山風穴の近くに整備した解説板と、設置に取り組んだ金盛さん(右)、山下さん=香川県綾川町西分


 北海道出身の金盛さんは2020年4月に隊員となって活動を開始した。昨年春には冷風が出て真夏でも10度前後に保たれるという風穴に着目、訪れた人の声を知るために入り口近くの東屋(あずまや)に「風穴ノート」を置いた。

 数カ月後には1冊全てのページが埋まり、「ひんやりとした風が気持ちいい」「きれいに保存してくれていて感謝」などと好意的な意見が9割以上を占めていた。一方で、「なぜ冷風が出て、どのように使われていたのか」「見つけるのに苦労した」といった意見も記されていたため、町や地元の西分大相自治会(山下幸夫会長)と解説板の設置について協議。昨年秋から年末にかけて、風穴に続く町道沿い2カ所への案内標識と共に整備した。


風穴の中で、幼い頃のエピソードを山下さん(左)から聞く金盛さん

風穴の中で、幼い頃のエピソードを山下さん(左)から聞く金盛さん


 解説板は高さ約2メートル、幅約1・6メートル。冷風が出る仕組みについて「高鉢山の岩肌の隙間から入った風が、山の中を通っていくうちに冷やされ、風穴から出てくる」とイラストを添えて紹介。冷蔵庫がない時代には蚕の卵を保存する目的で利用され、その後、ウド、豆、グラジオラスなどの種子貯蔵の役割を担ってきたことを伝えている。山下会長(68)は「私たちにとって思い出が詰まった風穴の魅力を広めてくれて、ありがたい」と話した。

 金盛さんはドローンを使って、西分地区の四季折々の風景を撮影する活動も行っており、今後は昨年12月に借り受けた空き家を活用した取り組みなどを計画。「私がこの地で感じた自然の美しさや食材のおいしさ、人の魅力を訪れた人に追体験してもらえる企画を実現したい」と意気込んでいる。

(四国新聞・2022/02/06掲載)



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