丸亀市は21日、香川県丸亀市一番丁の丸亀城で観光庁が推進する「城泊」事業を実施する方針を明らかにした。観光客らを城内に宿泊させる試みで、場所はイベント会場などとして活用されてきた延寿閣別館を想定。日本文化が体験できる場所として滞在型観光の誘致を強化するほか、文化財保護のための資金調達につなげる。2024年度からの受け入れ開始を目指す。


「城泊」に向け、耐震改修が行われる丸亀城の延寿閣別館(資料)

「城泊」に向け、耐震改修が行われる丸亀城の延寿閣別館(資料)


 市によると、城泊は愛媛県大洲市の大洲城などで先進的に取り組まれており、現存木造天守のある12城では初めて。22年度一般会計当初予算案に延寿閣別館の耐震改修に向けた調査・設計委託料342万円を盛り込んだ。23年度に改修工事を実施。城泊・寺泊を手掛ける事業者らから助言が得られる観光庁の専門家派遣事業に採択されており、昨年11月から市観光協会も交えて協議した結果、具体化の見通しが立った。

 丸亀京極藩6代藩主・京極高朗の隠居部屋だった延寿閣は1933(昭和8)年に丸亀市通町から城内三の丸へ移築。合わせて延寿閣に連なる貴賓室として別館(特別室)を整備した。別館は木造平屋で延べ床面積約120平方メートル。15畳の広さの床の間や10畳の次の間、浴室・トイレなどがあり、当時は会議室や宴会場などとして活用。京極家江戸藩邸の建物から天井や欄間、飾り金具などが移築使用されるなど江戸時代の意匠が垣間見られ、風情も感じることができる。

 延寿閣は老朽化で85年に取り壊されたものの、別館は今もイベント会場として使われており、一定程度の改修で宿泊施設としても活用できると判断した。市は宿泊だけにとどまらず、カフェ営業やさまざまな事業に活用する方針で、中津万象園(同市中津町)などとも連携し、アフターコロナ観光の起爆剤として「京極家」をテーマにした城泊・歴史文化体験事業を展開する考えだ。

(四国新聞・2022/02/22掲載)

延寿閣別館



関連情報