日本工芸会による公募展の受賞作などを集めた「日本伝統漆芸展」が15日、香川県高松市紺屋町の同市美術館で始まった。ベテランから新進気鋭の作家による精緻な意匠を凝らした83点が、訪れた人たちを魅了している。27日までだが新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置などのため、19~22日は休館する。


全国の漆芸家の作品に見入る来場者

全国の漆芸家の作品に見入る来場者=香川県高松市紺屋町、市美術館


 39回目となる今年は、東京など例年より少ない4会場を巡回。高松展は新型コロナの影響で予定より3日遅れて開幕した。会場では受賞作8点を含む入選作品を紹介しており、県内からは入賞1人を含む14人の作品が並んでいる。

 このうち、同市美術館賞を受賞した真鍋民生さん(同市)の「乾漆盆『三栗(さんぐり)』」は、変わり塗りの技法の一つ「吸上げ」を駆使した作品。つややかな黒の地に、馬毛の筆を用いて茶や黄の色漆や金粉で栗のイガを描いた。角度によりさまざまに見える漆の盛り上がりが、栗の生命力を感じさせる独自の表現になっている。

 最高賞に当たる文部科学大臣賞の坂本康則さん=石川県=の「蒔絵(まきえ)沈金箱『夜遊戯(よあそび)』は、蒔絵や螺鈿(らでん)の技法を用いてホタルの輝きや夏の夜のきらめきを表現。いずれも蒟醤(きんま)の重要無形文化財保持者(人間国宝)の山下義人さん=高松市=、大谷早人さん=同=の作品も、来場者の視線を集めている。

 会場を訪れていた高松市の主婦(68)は「香川はもちろん、輪島塗など全国の漆芸の技が見られて素晴らしい」と話していた。

(四国新聞・2022/03/16掲載)


高松市美術館公式サイト

第39回 日本伝統漆芸展


開催期間 3/12(土)~3/27(日)
所在地 香川県高松市紺屋町10-4
高松市美術館1階 常設展示室1
開館時間 9:30~17:00 
ただし、3/18(金)は19:00まで
休館日 月曜日(祝休日の場合は翌平日)
19(土)、20(日)、21(月・祝日)は臨時休館
TEL 087-823-1711


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