香川県高松市の消しゴム版画作家・大倉朗人(あきと)さん(61)の個展「SEASONS・時の色」が22日、同市のサンポートホール高松市民ギャラリーで始まった。四季折々の風景や果物などを絵画のように表現した力作135点を展示。消しゴムを用いたとは思えないような華やかな世界が、来場者を魅了している。28日まで。


消しゴム版画作品について説明する大倉さん

消しゴム版画作品について説明する大倉さん=香川県高松市、サンポートホール高松市民ギャラリー


 大倉さんは会社勤めの傍ら2007年から独学で消しゴム版画の制作に取り組み、県内で個展を開くなど精力的に活動。作品全体をいくつかのパーツに分け、凹凸に削った多数の消しゴムを組み合わせて彩色する手法で繊細なグラデーションや緻密な描写を生み出している。

 個展は創作開始から15年になるのを機に同ホールの主催事業として実施。会場では12年以降に制作した作品を紹介しており、JR下灘駅(愛媛県)からの眺めを季節ごとに表した風景のほか、リンゴやモモといった果物を陰影を付けて立体的に表現したものが目を引いている。

 このうち「想」は、新型コロナウイルス下で自身の心情を表したという抽象画。雪の結晶をモチーフに色とりどりの球体をあしらい、幻想的な一枚に仕上げている。熱帯魚やサンゴ礁を描写した1800枚のコースターを壁に貼り付け、水中を表現した大作(縦1・8メートル、横8・1メートル)も注目を集めていた。

 高松市香西本町の天雲明美さん(69)は「独学で技を身に付けたと聞いて驚いた。色合いも優しくて心が和みます」と話し、じっくりと鑑賞していた。

(四国新聞・2022/03/23掲載)



関連情報