春会期が14日に始まった瀬戸内国際芸術祭2022(瀬戸内国際芸術祭実行委主催)は16日、開幕から初の週末を迎え、家族連れや美術ファンらの来場が本格化した。穏やかな好天となり、各会場は午前中から盛況。来場者は新型コロナウイルス対策を徹底した上で、島の自然や文化と融合した作品や島民らとの触れ合いを満喫した。


オープニングセレモニーでパフォーマンスを披露する「切腹ピストルズ」=香川県坂出市沙弥島

オープニングセレモニーでパフォーマンスを披露する「切腹ピストルズ」=香川県坂出市沙弥島


 春会期のみの会場となる坂出市の沙弥島では、ナカンダ浜で地元のオープニングセレモニーが開かれ、訪れた約500人が和太鼓や伝統の弓神事「櫃石ももて祭」、和楽器グループ「切腹ピストルズ」のパフォーマンスを楽しんだ。友人と訪れた神奈川県の会社員大津貴子さん(43)は「自然の中でアートに触れられ、おいしい食もあって最高」と笑顔を浮かべた。

 巨大作品が注目を集めたのは小豆島町神浦。石垣や流木などで作った高さ約9・5メートルの巨人像「ダイダラウルトラボウ」や、古民家を貝殻に見立てた「ヒトクサヤドカリ」に、家族連れらが圧倒されていた。


巨人像「ダイダラウルトラボウ」を見上げる来場者=香川県小豆島町神浦

巨人像「ダイダラウルトラボウ」を見上げる来場者=香川県小豆島町神浦


 近くでお茶を販売する小豆島町苗羽の飲食店店員、佐伯典男さん(73)は「新しい風景にいつも驚かされる。観光客とも自然と会話ができるので、外に出るのが楽しくなる」と目を細めた。

 高松市の女木島では、作家と一緒に作品を制作するワークショップがにぎわった。目玉の一つ「女木島名店街」では、ガラスのマドラー作りが人気。古布を編んだひもで空き家の飾り付けを体験した米国のアンドリュー・ソノキュストさん(29)は「自分の作ったパーツが作品の一部に。忘れられない思い出になった」と感激していた。

 各島へのアクセス拠点となる高松港は、朝早くの便に長い行列ができた。大島の作品を堪能して戻った高松市の会社員三舛谷侑佑さん(28)は「次は来月に別の島へ。新型コロナの状況を見ながら、ゆっくりしたペースで巡っていきたい」と話していた。

(四国新聞・2022/04/17掲載)


特集 瀬戸内国際芸術祭 | 四国新聞社


瀬戸内国際芸術祭2022


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