香川県琴平町にある国の重要文化財「旧金毘羅大芝居」(金丸座)の耐震工事が完了し21日、同所で完成式典が行われた。工事では壁に補強材を埋め込むなど、見た目には工事前とほぼ変わらない状態にした上で、震度6強の地震に耐えられるようにした。22日から1年半ぶりに一般公開を再開する。


外壁の補強部分について説明する工事担当者=香川県琴平町、金丸座

外壁の補強部分について説明する工事担当者=香川県琴平町、金丸座


 金丸座は、1835年に建てられた現存する日本最古の芝居小屋で、2017、18年の耐震診断で基準を満たしていないことが判明。20年夏には工事を始める予定だったが、新型コロナウイルスの影響で遅れて同年10月に着工、今年3月に完了した。

 設計監理を行った文化財建造物保存技術協会によると、建物内では、壁の中の合板をより強度の高い合板と入れ替えたり、楽屋の畳を薄くして補強用合板を追加したりした。壁や柱は修復時に色を整え、芝居小屋の雰囲気を壊さないようにした。

 外部では、外壁を鉄骨の筋交いなどで補強。建物の裏側や塀で囲まれた部分に施工し、来場者からは見えないようにした。総事業費は2億2550万円。


金丸座の耐震工事完了を祝う式典=香川県琴平町

金丸座の耐震工事完了を祝う式典=香川県琴平町


 式典には、片岡町長や琴陵泰裕金刀比羅宮宮司ら約30人が出席。神事に続いて片岡町長が「金丸座は町の宝。後世に長く残していくことが私たちの使命」と工事の意義を強調。「工事完了を契機に、厳しい地域経済に明るい兆しがもたらされたら」と期待を込めた。式典後には同協会の担当者が、出席者に工事の概要を説明した。

 金丸座では例年、「四国こんぴら歌舞伎大芝居」が行われているが、コロナの影響などで3年連続の中止となり、町は代替イベントとして青森県弘前市と連携した「四国金毘羅ねぷた祭り」を5月27、28日に開催する。

(四国新聞・2022/04/22掲載)



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