自閉症による発達障害がある画家・石村嘉成さん(28)=愛媛県新居浜市=と父・和徳さん(61)のトークイベントが30日夜、香川県丸亀市大手町の市民交流活動センター「マルタス」で開かれた。和徳さんが「親子の物語~発達障害のわが子と歩んで~」と題し、「社会に受け入れられる子に育てようと努めてきた」と療育生活を熱弁。嘉成さんは亡き母の肖像を版画にする実演に挑戦し、来場者と一緒に作品を仕上げた。


来場者と一緒に制作した版画を披露する嘉成さん(左端)=香川県丸亀市大手町、市民交流活動センター「マルタス」

来場者と一緒に制作した版画を披露する嘉成さん(左端)=香川県丸亀市大手町、市民交流活動センター「マルタス」


 イベントは、同市中津町の中津万象園・丸亀美術館で開かれている嘉成さんの作品展「生きもの 森羅万象 石村嘉成展」の関連企画。市内外のファンら約180人が参加した。
 和徳さんは「どこが自閉症ですか、というぐらいかわいい顔をしていた」と嘉成さんの誕生から講演をスタート。1歳2カ月ぐらいで異変に気付いたが、周囲からは「まだ幼いから様子を見ましょう」と言われていたことを明かし、「日々増える問題行動に不安は募るばかり。発達障害は様子見で良くならない。信念を持って療育していこうと覚悟した」と振り返った。
 療育生活について、「子育てを丁寧にしただけ。障害があるから仕方ないと思わない。何度でも挑戦させた。しからないけど、譲らないが極意」と和徳さん。嘉成さんが高校3年の時、版画に出合い、20歳で個展を開くようになると、「自己肯定感の積み重ね。人に認めてもらうことが生きるモチベーションになる。そこに障害の有無は関係なかった」と訴えた。
 嘉成さんの亡き母の肖像版画作りでは、嘉成さんがあらかじめ色を載せた版画の上に輪郭の墨を加える最終工程を実演。来場者がバレンを片手に色の刷り込み作業を体験した。
 中津万象園・丸亀美術館の作品展は9月11日まで。開館時間は午前9時半~午後5時(最終入館は同4時半まで)。水曜休館。所定の鑑賞料が必要。問い合わせは中津万象園〈0877-23-6326〉。

(四国新聞・2022/08/01掲載)

生きもの 森羅万象 石村嘉成展


会場 中津万象園・丸亀美術館
香川県丸亀市中津町25-1
会期 2022年7月9日(土)~2022年9月11日(日)
9:30~17:00(入館は16:30まで)
料金 一般800円、小中生400円ほか
TEL 0877-23-6326

中津万象園・丸亀美術館



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