瀬戸内海の島々などを舞台にした現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2022」(同実行委主催)の夏会期が5日、開幕した。


巨大な卵形の新作「はじまりの刻」に見入る来場者=土庄町屋形崎

巨大な卵形の新作「はじまりの刻」に見入る来場者=土庄町屋形崎


 春会期と同じ七つの島と高松港周辺、岡山県の宇野港周辺を舞台に夏会期からの新作19点を含む159点を公開。この日は夏休み中とあって、午前中から親子や美術ファンらが次々と各会場を訪れ、新型コロナウイルスの感染対策に気を配りながら、個性豊かな島の文化とアートの融合を楽しんでいた。土庄町屋形崎の「屋形崎夕陽(ゆうひ)の丘」では、家族連れやグループらが青い海を背景にして立つ巨大な卵形の新作「はじまりの刻(とき)」を見上げ、記念撮影する姿が目立った。夏会期は9月4日までの計31日間。大島(高松市庵治町)は新型コロナ感染症対策のため、15日からのオープンとなる。

アートの夏、心弾ませ 来場者、島々巡り新作堪能

 各会場では新作が注目の的に。小豆島町では、ワン・ウェンチーさんの竹を編んだ巨大な作品「ゼロ」に感嘆の声が上がった。兵庫県川西市の主婦中原彩さん(42)は「作品の中は自然と一体化していて気持ちが落ち着く。吹き抜ける風も、セミの鳴き声も心地よく感じる」と満足げ。近くで食堂を運営する立花律子さん(60)は「棚田の風景と一緒に、小豆島の雰囲気を五感で味わってもらえたら」と笑顔を見せた。
 建築とアート、風景が融合した力作も見られた。男木島では大岩オスカールさんが海を望む家の窓に海洋生物を描いた作品を、女木島ではニコラ・ダロさんが古民家で海図をイメージした空間作品を展開。来場者から「すがすがしい」「癒やされる」などと感動の声が上がっていた。


大岩オスカールさんの「男木島パビリオン」を鑑賞する来場者=高松市男木町

大岩オスカールさんの「男木島パビリオン」を鑑賞する来場者=高松市男木町


 この日、高松市の屋島山上にオープンした「やしまーる」では、午前中から観光客らが次々に訪れ、施設内を巡ったり景色を眺めたりしていた。瀬戸芸をひと目見ようと北海道旭川市から訪れた主婦近藤由香利さん(44)は「おしゃれな建物と素晴らしい瀬戸内海の景色が一望できるロケーションがすてき」と満足感を漂わせていた。


検温を済ませ、リストバンドを着ける来場者=高松市サンポート

検温を済ませ、リストバンドを着ける来場者=高松市サンポート


 新型コロナが拡大する中での開催となった夏会期。高松港旅客ターミナルではスタッフが検温と体調チェックを徹底した。夫婦で訪れた岡山市の小谷茂雄さん(66)は「これだけ感染者が多いので、混んでいない午前を狙おうと家を早く出た。島の人に歓迎してもらえるようしっかり対策したい」と気を引き締めていた。直島で飲食店を経営する堀内和子さん(82)は、「住民も来場者もコロナ対策に細心の注意を払って楽しんでほしい」と話した。

(四国新聞・2022/08/06掲載)


瀬戸内国際芸術祭2022


四国新聞 特集 瀬戸内国際芸術祭


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