その椅子に一度座れば、誰もが心地よさに魅了される。「ジョージナカシマ記念館」(高松市牟礼町)では、世界的な家具デザイナー、ジョージ・ナカシマ(1905~90年)が手掛けた家具を展示し、その生涯や功績を紹介している。自然と木を愛し、木に家具という“第二の人生”を与えてきたナカシマのものづくりの精神を知ることができる。


ナカシマの家具は和室にも洋室にもマッチする雰囲気

ナカシマの家具は和室にも洋室にもマッチする雰囲気


 ナカシマは米国籍の日系2世。大学で森林学と建築学を学び建築家として活躍していたが、材料選びから製造まで自分でできる家具作りの道を選んだ。

 64年、彫刻家流政之さんの勧めで初めて来県し、流さんが地元の職人やデザイナーらと結成した「讃岐民具連」にも参加。同メンバーだった桜製作所の協力を得て、東京で計8回展覧会を開催した。90年にナカシマが亡くなった後も、米国ペンシルバニア州の工房と桜製作所でナカシマデザインの家具は作り続けられている。

 記念館にはナカシマの代名詞ともいえる「コノイドチェア」や民具連の名を冠した「ミングレン」シリーズなどを展示。中には流さんが実際に使用していた椅子やナカシマが設計を担当した軽井沢の教会の椅子など貴重な資料もそろう。


「コノイドチェア」など椅子もずらりと並んでいる=いずれも高松市牟礼町、ジョージナカシマ記念館

「コノイドチェア」など椅子もずらりと並んでいる=いずれも高松市牟礼町、ジョージナカシマ記念館


 椅子に座ってみて驚くのは、体を包み込むようなフィット感。木なのにごつごつした部分が一切なく、座るとおのずとゆったりとした気持ちになる。森林学を学び、米国では森を切り開いて工房を建てたナカシマならではの造形だろう。

 ナカシマは空洞や割れがある木材も活用した。展示室にある「ミングレンデスク」はその一つ。木には大きな空洞があるが、そこをチョウのような形をした「契り」で補強している。木が生きていた、その息吹を感じるような逸品だ。

 1階では、実際にナカシマデザインの椅子に座ることができる。自分の家に置くなら、どの椅子と机がいいかな―。そんな風に考える時間もいい。

 2階は撮影禁止だが、1階での記念撮影は可能。開館は午前10時から午後5時。日曜日と祝日休館(夏季休館や年末年始休館あり)。料金は一般500円ほか。問い合わせは同館〈087(870)1020〉。

(四国新聞・2019/03/12掲載)

ジョージナカシマ記念館


所在地 香川県高松市牟礼町大町1132-1
営業時間 10:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日 日曜日、祝日(年末年始・夏季休暇あり)
TEL 087-870-1020


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