香川県三豊市出身の日本画家、福本百恵さん(38)の作品を集めた特別展「福本百恵日本画展」(中津万象園保勝会主催)が17日、丸亀市中津町の中津万象園・丸亀美術館で始まった。伝統技法を受け継ぎつつ、現代的に色彩豊かに仕上げた約70点を展示。中には出身の名古屋芸術大学(愛知県北名古屋市)の学生らと共に国の伝統的工芸品の丸亀うちわを画材にした意欲作もあり、来場者の注目を集めている。11月27日まで。


来館者に作品を解説する福本さん(左端)=香川県丸亀市中津町、中津万象園・丸亀美術館

来館者に作品を解説する福本さん(左端)=香川県丸亀市中津町、中津万象園・丸亀美術館


 同館での福本さんの企画展は2年ぶり。福本さんは2019年度の「県文化芸術新人賞」受賞者で、現在は同大の非常勤講師を務める傍ら、意欲的に作品制作を続けている。
 福本さんは花や鳥を主なモチーフにした花鳥画を手がけており、今展では20年以降に制作した比較的新しい作品を紹介。メインを飾る新作「絢爛赫赫(けんらんかくかく)東西花鳥図」は縦1・8メートル、横5・6メートルに及ぶ大作で、ロシアのウクライナ侵攻など暗い話題を曲がりくねった木の枝に見立て、色とりどりの花や鳥を周辺にあしらうことで、「平和を願うような明るい作品にしたかった」という。
 今展では同大の長谷川喜久教授や同門の日本画家、林真さんの作品も並び、それぞれ瀬戸内の島々をモチーフにした新作を披露。丸亀うちわの作品は四国に美術大学がない中、若い世代の感性を楽しんでもらおうと企画した。
 初日は関係者が出席してセレモニーを行い、長谷川教授は「花鳥画の伝統をしっかり継承しつつ、時代に即した作品づくりを追求しており、福本さんの華やかな色彩は若い作家の目標にもなっている」と評価。福本さんは「生まれ育った香川の風土がカラフルな仕上がりにつながっている。思い思いに楽しんでもらいたい」と話した。
 水曜休館。開館時間は午前9時半~午後5時。所定の鑑賞料が必要。問い合わせは同館〈0877-23-6326〉。

(四国新聞・2022/09/18掲載)


中津万象園・丸亀美術館



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