29日に開幕する瀬戸内国際芸術祭2022秋会期の新作の一つで、香川県高松市屋島東町の屋島山上交流拠点施設「やしまーる」に常設展示される大規模パノラマ画が完成。27日、同所で報道関係者向けの内覧会が開かれた。源平合戦の「屋島の戦い」に着想を得た架空の合戦を、写実的な油絵の技法とジオラマで臨場感たっぷりに表現した圧巻の作品となっている。


オープンに先駆け、報道陣に公開された源平合戦に着想を得たパノラマ画や岩場などのジオラマ=高松市屋島東町、やしまーる


 タイトルは「屋島での夜の夢」。東京芸術大の保科豊巳名誉教授が手がけた。19世紀初頭に欧州を中心に流行した「パノラマ館」の構造を取り入れ、円弧状の壁面に遠近法を用いて描いた絵画と、その近景をリアルに再現したジオラマを床にちりばめ、作品への興味を高めている。このような構造を施した施設は国内で唯一という。
 大きさは縦約5メートル、横約40メートルで、右から左に向かって朝、昼、夜と1日の時間の流れを表し、荒れ狂う瀬戸内海などが描かれた油絵と壊れた舟、岩場などのオブジェを一体的に配し、人間の戦いや自然の驚異、無常観を描いている。やしまーるの中條亜希子館長は「絵画の技法と共にパノラマ館の珍しい構造も楽しめる。アートファンや地域の大勢の人たちに足を運んでもらいたい」としている。

(四国新聞・2022/09/28掲載)


瀬戸内国際芸術祭2022


四国新聞 特集 瀬戸内国際芸術祭



関連情報