香川県内の山間部を舞台にした現代美術展「かがわ・山なみ芸術祭2022」(同実行委主催)は22日から、綾川町エリアに会場を移して開催される。県内外の芸術家が絵画やインスタレーションなど44作品を出展予定で、開幕を目前に作品制作が佳境を迎えている。


西分公民館北面をキャンバスに、壁画「山が生きている 山に生きている」を制作する町田さん=綾川町西分


 同芸術祭は2013年に始まった。第2回の16年以降は隔年で実施しており、今年で5回目。今回は「萌出(もえいづる)」がテーマで、5~6月には高松市塩江町エリアで開かれた。綾川町エリアでは旧枌所小学校のかがわ・ものづくり学校や主基斎田記念館など14会場で展示を実施。このうち西分公民館と同公民館野外会場には、8作品が並ぶ。
 松山市の画家・町田紗記さん(30)は、同公民館北面に讃岐の山々と、そこに住む竜のような生き物などを描く壁画「山が生きている 山に生きている」を制作中。今月2日に同町に入り、油性ペンキで一面を幻想的に染めている。「1人で制作するのは大変だが、大きな絵を描けるのは楽しい」と町田さん。「作品を見てから背後に広がる山々を振り返り、人が生きることの意味に思いをはせてもらえれば」と話している。
 館内ではこのほか、滝宮こども園の園児らがワークショップでつくった約70体の招き猫の陶器などを展示。野外会場には三豊市の美術家・河野博さんが長さ6~7メートルの竹の先にビニールをかぶせ、風に吹かれると肩を寄せ合うように揺れるインスタレーション「井戸端会議」もある。


西分公民館野外会場に展示される河野博さんの「井戸端会議」


 各会場とも観覧無料で、開催期間は11月13日まで。倉石文雄実行委員長は「アーティストの作品だけでなく、住民がワークショップなどでつくった作品も展示し、地域と一緒につくり上げた芸術祭になっている」と述べ、来場を呼びかけている。

(四国新聞・2022/10/21掲載)


第5回かがわ・山なみ芸術祭2022


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