白い砂浜が続く海岸で馬と触れ合える「有明浜ホースパーク」(香川県観音寺市室本町)。絶景を堪能しながら餌やりや本格的な乗馬体験ができるとあって、全国各地からファンが訪れるという。天高く馬肥ゆる秋-。過ごしやすい季節に現地を訪ね、潮風を受けながら馬たちと癒やしのひとときを過ごした。


夕闇迫る浜辺で男性2人が馬に乗り、楽しそうに駆け抜けている(有明浜ホースパーク提供)

夕闇迫る浜辺で男性2人が馬に乗り、楽しそうに駆け抜けている(有明浜ホースパーク提供)


 同パークは、長年騎乗経験があるオーナーの中村小波さん(44)が、美しい景観が広がる海の近くで馬の魅力を広めようと2018年にオープン。ビジター向けだけでなく会員制の教室もあり、現在は6歳から77歳までの約40人が練習に汗を流している。
 厩舎(きゅうしゃ)に足を踏み入れると、競走馬を引退したサラブレッドやかわいらしいポニーなど計9頭がおのおののペースでゆったりと過ごしていた。そのうちの1頭で、伝説の名馬ディープインパクトのオーナーが所有していたオスのサラブレッド「パンコミード」が歩く姿を隣接する広場で見せてくれた。


サラブレッド「パンコミード」の背にまたがる児童を見守るオーナーら

サラブレッド「パンコミード」の背にまたがる児童を見守るオーナーら


 体高が170センチ以上ある背に、会員で観音寺小5年の児童(10)がまたがって軽やかに操る姿が印象的だった。中村さんは「最初は怖がる人もいるが、馬に揺られて高い位置から眺める景色は格別なはず」と教えてくれた。
 同パークの一番の売りは遠浅の浜辺だけではなく、銭形砂絵「寛永通宝」がある琴弾公園も乗馬で堪能できる「琴弾公園お散歩」コースがあること。白砂青松百選に選定されている松林一帯を通り過ぎ、水平線に沈みゆく夕日を眺めれば、きっと忘れられない思い出になるだろう。
 乗馬経験の長い人は浜辺を1人で走っても大丈夫。時には現役で活躍する騎手が家族連れで訪れることもあるそうで、騎手が直線約2キロの浜辺を競馬場のコースのように駆け抜ける姿が見られるのだとか。「スピードを求められてきた馬たちが、かつてのように疾走する姿を見ると誰もがワクワクする」と中村さん。その言葉にレースのテレビ中継を思い浮かべてしまった。
 10月からは、新メニューの「ジョッキー体験」もスタート。中村さんの夫で、1990年のG1レース菊花賞を制した元騎手・内田浩一さん(54)がむちの持ち方や腰の落とし方など、競馬の知識を交え乗馬をサポートしてくれる。乗馬と競馬の垣根を越え、馬事文化の魅力を気軽に体感できる場が有明浜にあるとは知らなかった。
 「琴弾公園お散歩」(30分)は1人5500円。「ジョッキー体験」(同)は4人までの1グループで7500円。要予約。問い合わせは、電話080-3162-0073。

(四国新聞・2022/10/22掲載)


有明浜ホースパーク



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