綾川の上流に約7キロにわたって広がる自然豊かな「柏原渓谷」は、香川県高松市塩江町側からも、綾川町側からも車で約20分。「景色を楽しもう」と思い立って訪ねると、屹立(きつりつ)する奇岩巨岩を包むように澄んだ流れがくだけ、その上をクヌギやカエデの自然林が紅葉し、一帯を鮮やかに染め上げていた。



 渓谷を流れる清流は、林野庁の「水源の森百選」や「さぬきの名水」にも選ばれた名水。かつてこの清流沿いの柏原林道はハイキングの人で賑わった。
 周囲は自然林だけに、木全体が燃えるように赤くなるモミジ類は少ない。オレンジ色っぽくなるミズナラやコナラ、黄色がかったカシワ、赤いアクセントはツタやウルシだろうか。多彩でまさに錦のようだ。渓谷のちょうど真ん中付近にあるキャンプ場「Tatutaの森」の担当者によると、周辺の紅葉の時季は毎年若干前後し、今年は遅いなと思っていたらある朝、一気に紅葉が進むことがあるそうだ。



 キャンプ場に立ち寄ると、数組が椅子や机を出してくつろいでいた。担当者は「2年ほど前からのキャンプブームもあり、5棟あるバンガローは予約開始後すぐ週末分が埋まる状態。季節を問わず訪れる常連さんもおり、暑さ寒さも上手に楽しんでいるようだ」と教えてくれた。この景色と空気の中でバーベキューをしたら、さぞおいしいことだろう。

(四国新聞・2022/11/12掲載)



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