4年に1度、国内外の若手ピアニストが技巧や表現力を競う「第5回高松国際ピアノコンクール」が2月12~24日の延べ10日間、香川県高松市玉藻町のレクザムホールで開かれる。新型コロナウイルスの影響で約1年の延期を経た今回は、9カ国の45人が出場。5回目を迎え、より一層レベルが高まるコンクールで栄冠をつかむのは誰か。世界の“才能”が県都で熱戦を繰り広げる。

 同コンクールは地元経済界や音楽界などの有志でつくる実行委員会が2006年から開催。15年に国際音楽コンクール世界連盟に加盟したことで浜松、仙台と並ぶ国内三大ピアノコンクールに位置付けられ、若手音楽家の登竜門としても知られるようになった。
 18年の第4回コンクールは古海行子(ふるみやすこ)さん(神奈川県出身)が日本人として初優勝。古海さんは21年、世界三大コンクールの一つ、ショパン国際ピアノ・コンクールでセミファイナリストとなるなど目覚ましい活躍を見せている。


第4回で日本人初の優勝を果たした古海行子さん=高松市、サンポートホール高松


 今コンクールは、唯一の県人となる高松市出身の西本裕矢さん(20)=東京芸術大=をはじめ45人が出場。21年10月にDVD映像で行った予備審査では、審査員からレベルの高さに舌を巻く声が相次いだ。
 コンクールの幕開けとなる1次予選に続き、2次、3次、本選を経て2月23日に優勝者が決定する。最終日の24日は入賞者演奏会を行う。優勝賞金は前回と同じ300万円。審査員は国内外の著名なピアニスト9人(審査員長・岩崎淑さん)で構成する。
 今回の注目の一つが3次審査で演奏する課題曲「陸に浮かぶ船」。気鋭の作曲家・坂東祐大さんが船のような形をした高松市の旧県立体育館の建築に着想を得て制作した作品で、奏者には表現力や楽曲への深い解釈が求められる。
 コンクールの様子はインターネットでライブ配信。実行委のホームページなどから閲覧できる。



<チケット情報>
 チケットはレクザムホールなど県内8カ所で発売中。インターネット〈https://kenminhall.com/visitors/ticket/〉でも受け付ける。問い合わせは同ホール、電話087(823)5023。

副審査員長・青柳晋さん 新しい可能性に期待
 新型コロナウイルス感染拡大のため延期になったコンクールがついに開催されることになり感無量。参加が厳しいと予想されていた国からの出場者も来日がかないそうで、大きな喜びを感じている。音楽にひたむきに命を注ぐ若者の姿の美しさに国籍や政治は関係ない。今回どんな新しい才能に出会えるか、審査員一同心から楽しみにしている。

(四国新聞・2023/01/20掲載)


第5回高松国際ピアノコンクール



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