結成20周年を迎えた和楽器演奏集団「独楽(こま)」の公演「みちなかば」が26日、香川県観音寺市観音寺町のハイスタッフホールで開かれる。大阪を拠点に、国内外で活動してきた20年間の集大成の舞台と位置付ける同市出身の代表、植木陽史さん(45)に公演の見どころや演奏活動に込めた思いを聞いた。


独楽の公演の一場面(資料)

独楽の公演の一場面(資料)


 ―どんな公演になる。
 子どもの頃から祭りが好きで、和太鼓に親しんで育ってきた。舞台では、私たち日本人になじみ深い祭りのような空間と音づくりに力を入れている。最近は和楽器グループが増えて手数の多い演奏が目立つが、「ズドーン」と鳴り響く和太鼓本来の音色を聴かせたい。琴や津軽三味線など多彩な和楽器とのかけ合い、獅子舞の演舞にも注目してほしい。
 ―独楽を結成する前、和太鼓集団「鬼太鼓(おんでこ)座」で3年間修業した経験がある。
 鬼太鼓座では中国の山間地域約6千キロを走る企画に参加した。鬼太鼓座創設者の田耕(でんたがやす)さんが提唱した「走ることと音楽は一体」という「走楽論」に基づいたもので、道中で大陸の人々が力強く生きる姿を目の当たりにし、雑草魂のような根性が養われた。ここ数年は新型コロナウイルスの影響で活動に大きな打撃を受けたが、中国での経験があったからこそ乗り切れた。
 ―独楽を立ち上げ、全国各地で演奏している。
 大きいホールだけでなく、お客さんの顔が見える舞台で演奏したいという思いで独楽を結成した。現在は8人を中心に活動。これまで地域の行事などにも招かれて演奏しており、土地ごとに観客の反応が異なるのが興味深い。和太鼓の大きな音は世界的にも珍しいためか、フランスなど海外の公演でも喜んでもらえた。
 ―学校でのワークショップにも力を入れている。
 1年間で約40の小中高校を訪問している。日本人なのに自国の楽器に触ったことがない、演奏を聴くのも初めてという子どもが多く、少しでも日本の音を好きになってほしいと考えている。特に地元・香川の芸能文化をさらに活性化させたいし、和太鼓のプロ奏者が増えればうれしい。
 ―今後の抱負を。
 私たちの活動を通して、学校などで和楽器に触れられる環境をもっと増やしたい。祭りについても派手な部分ばかりが注目されがちだが、神事に使われる楽器の奏者として、本来の祭りの意味やあり方も若い世代に伝えていきたい。


「日本の楽器の音色を好きになってほしい」と話す植木さん=高松市中野町、四国新聞社

「日本の楽器の音色を好きになってほしい」と話す植木さん=高松市中野町、四国新聞社


 うえき・ようじ 1977年生まれ。観音寺一高出身。1998年に和太鼓集団「鬼太鼓座」に入団し3年間修業。退団後は津軽三味線と日本民謡も学び、2001年に「独楽」を結成した。国内外で公演を重ねている。大阪府在住。

(四国新聞・2023/02/17掲載)


和楽器集団 独楽

公演情報


会場 ハイスタッフホール 大ホール(香川県観音寺市観音寺町甲1186-2)
開催日時 2023/02/19(日)15:00開演
入場料 指定席3500円(前売り3千円)ほか
TEL ハイスタッフホール、電話0875-23-7600


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