金刀比羅宮(香川県仲多度郡琴平町)所蔵で、劣化が著しかった江戸期の絵師・伊藤若冲(じゃくちゅう)の障壁画「百花図(ひゃっかのず)」が、修復作業を終え1年4カ月ぶりに同宮奥書院に再設置された。色彩豊かな草花やまばゆい金の下地がよみがえった作品は、8日からの特別展「お待たせ!こんぴらさんの若冲展」で公開される。同宮は「きれいになって戻ってきた芸術品を、一人でも多くの人に見ていただきたい」としている。


修復業者(右)からふすま絵の説明を受ける請川禰宜=香川県仲多度郡琴平町、金刀比羅宮

修復業者(右)からふすま絵の説明を受ける請川禰宜=香川県仲多度郡琴平町、金刀比羅宮


 百花図は1764年の作で、6畳ほどの「上段の間」の壁やふすまに、ツバキやボタン、ユリなど201点もの花々が描かれた作品。絵の具のひび割れ、はく落など劣化が目立ち、2021年11月から京都の修復業者が預かっていた。
 今回修復したのは、ふすま絵4面と壁画1面。業者によると、絵を描いた紙そのものがもろくなっており、裏側を補強する作業を行ったほか、汚れを落としたり、膠(にかわ)を入れ直したりした。その結果、絵が安定し、発色も少し鮮やかになったという。3月28日に同宮に再設置された。


修復が完了した若冲の作品を設置する業者=香川県仲多度郡琴平町、金刀比羅宮

修復が完了した若冲の作品を設置する業者=香川県仲多度郡琴平町、金刀比羅宮


 修復費用は約1500万円。百花図を含めた同宮の文化財に関しては、2、3月にクラウドファンディングを実施。530人から2591万円が寄せられており、一部を今回の修復に充てる。
 百花図などの特別展は、4月8日から6月11日まで開催。入場料は奥書院、白書院、表書院合わせて2千円。高校生・中学生千円、小学生以下無料(大人の保護者同伴が必要)。1時間ごとの入れ替え制。詳しくは同宮のサイトまたは総務課0877-75-2121。

(四国新聞・2023/04/01掲載)


金刀比羅宮



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