2018年の全国高校総合文化祭の演劇部門で最優秀賞を受賞した丸亀高演劇部の舞台「フートボールの時間」がプロの手によってリメークされ、全国公演されることが決まった。劇作家・演出家として注目を集める瀬戸山美咲さん(45)が新たな息吹を吹き込み、女優の堺小春さん、井上向日葵さんらが演じる。10、11月に香川県丸亀市を含む全国7都県の劇場を巡り、計18公演を予定している。


ワークショップで演劇の魅力を伝える瀬戸山さん(左端)=丸亀市綾歌町、アイレックス


 「フートボールの時間」は、丸亀高の前身の一つ、県立丸亀高等女学校を舞台に、大正時代にサッカーを愛した女学生の姿を描いた群像劇。当時同部の顧問を務めていた豊嶋了子教諭と部員が制作した。サッカーに打ち込む女学生の心情を細やかに描き、男女差別などの社会問題も盛り込んでいる点が総文祭でも高い評価を受けた。
 瀬戸山さんが手がけるのは、岐阜県の可児市文化創造センターalaが展開しているコレクションシリーズの一環。毎年1作品を選び、プロの作家や役者が1カ月ほど可児市に滞在して新たな作品を作り上げ、全国に発信していくプログラムで、高校演劇の作品としては初めて採用された。
 高校演劇には1時間という制約があったが、上演作品は2時間弱まで拡大するという。瀬戸山さんは「原作のエピソードを大切にしつつ、プロが演じる大人のドラマを深めて分厚くできれば。もちろんサッカーの動きも入れ、舞台となる丸亀の良さも詰め込みたい」と意欲を示している。
 5月28日にプログラムの関連企画として丸亀市綾歌町のアイレックスで演劇ワークショップがあり、講師として瀬戸山さんが来県。参加した市民ら24人に目線の大切さや動きの面白さなど演劇の魅力を伝えた。現役の丸亀高演劇部員で1年の渡辺碧海さん(15)は「当時の先輩たちの演技も圧巻だったけれど、プロの人たちの手でどこまで生まれ変わるか楽しみ」と声を弾ませた。翌29日には出演者オーディションもあった。
 香川公演はアイレックスで11月7日に開かれる。チケットの発売開始は8月26日を予定している。

(四国新聞・2023/06/07掲載)


綾歌総合文化会館アイレックス



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