来春、開館30周年を迎える高松市塩江美術館(香川県高松市塩江町)が、二つある展示室のうち「常設展示室」の模様替えを進めている。国内外の風景画が並ぶ空間にピアノを設置して、来館者が作品鑑賞しながら自由に弾けるようにした。持ち帰り用のチラシを並べる棚も職員が手作りしたほか、今後はユニークな本棚も作る予定。同館などによると、美術館内に自由に弾けるピアノを置くのは珍しいという。


常設展示室に設置されたピアノを弾く来館者=高松市塩江町、市塩江美術館

常設展示室に設置されたピアノを弾く来館者=高松市塩江町、市塩江美術館


 今回の模様替えは、30周年の節目を機に、収蔵品を紹介する常設展示室にもっと親しんでもらおうと企画した。設置したピアノは、初代館長が1998年に寄贈したカワイのアップライトピアノ。同館でコンサートを開く際に使用していたが、今後はストリートピアノのように来館者が自由に弾けるようにして、展示作品から思い浮かぶイメージを音で表現してもらう。
 チラシ用の棚は、同館職員で木工作業を得意とする元中学校美術教諭の橋本武生さん(61)=丸亀市=が二つ製作。高さ165センチ、横100センチの木製でA4サイズを計48枚展示できる。試行錯誤を重ねて同館や自然豊かな周辺環境にマッチするデザインに仕上げたという。
 次に展示替えを行う8月下旬にはアート関連の蔵書を収める本棚も据え付ける予定で、それ以外にも室内を徐々に変化させていくという。橋本さんはこれまで、木材やアルミを使って同館をイメージしたアンケート回収ボックスや案内板も製作している。
 現在、常設展示室では高松市出身の故伊東義久さんの風景画展を開催中。ピアノを弾いていた同市香川町の樽井二恵(つぎえ)さん(80)は「絵画を見ながら弾くと心が癒やされ、より一層美術館に親しみが湧いた」と話していた。

(四国新聞・2023/06/23掲載)


高松市塩江美術館公式サイト



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