香川県内の演劇愛好家でつくる劇団マグダレーナ(大西恵さん主宰)が23日、高松市西宝町のミューズホールでロックミュージカル「コロナの街」を上演する。今回は菊池寛原作の戯曲「義民甚兵衛(ぎみんじんべえ)」を脚色。新型コロナウイルスがまん延する現代社会のある廃屋で、執拗(しつよう)ないじめを繰り返す子どもたちの心の闇を真正面から描き出す。


本番を間近に控え、真剣なまなざしの出演者たち=高松市内


 江戸期を舞台にした「義民甚兵衛」は、生まれつき右脚が短い主人公・甚兵衛が継母や兄弟から猛烈な差別を受け続けた半生を描いた物語。今作では、いじめを受けて自殺した現代の児童たちと甚兵衛らが亡霊となって廃屋によみがえり、加害者側である中学生や周囲の大人たちの実像に迫る-といったストーリーに仕上げている。
 ミュージカルの要となるのは、マグダレーナが指導する「子どものための演劇教室」に所属する小学4年~高校2年生。最高齢の83歳を含めた31人が家族の愛に飢えた子どもや虐待を続ける大人らを演じ、いじめの残酷さを歌声に乗せる。
 文部科学省によると、2021年度の県内の小中高校と特別支援学校のいじめ認知件数は過去最多を記録。全国的に増加していることから、脚色・演出を手がけた大西さんは「これらのいじめを一因に、死を選ぶ子どもたちがいることを受け止めなければならない」と制作の意図を語った。
 中心人物の女子生徒を演じる片岡真歩さん=高松一中3年=は「子どもが抱く怒りや悲しみなどの感情を精いっぱい表現したい」と本番へ意気込みをみせた。
 アーツフェスタたかまつ2023の主催事業。午後1時30分と同6時開演。入場料は一般2500円(前売り2千円)ほか。問い合わせは劇団マグダレーナ、電話090-7621-9503。

(四国新聞・2023/07/13掲載)



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