丸亀市沖の広島で、ゲストハウス(簡易宿所)3軒が相次いでオープンした。いずれも島の活性化を願う有志グループのメンバーが運営する。瀬戸内海の島々に注目が集まり、広島でも15年ぶりの学校再開が決まるなど明るい話題が増える中、関係者は「移住・定住のさらなる呼び水に」と期待を寄せている。


築180年超の古民家を改修したゲストハウス「竹亭」=香川県丸亀市広島町

築180年超の古民家を改修したゲストハウス「竹亭」=香川県丸亀市広島町


 有志グループは市内の会社員ら6人で構成する「われら島活隊」(香川義英代表)。江戸時代に回船問屋として栄えた尾上家の邸宅で、日本遺産「石の島」の構成文化財でもある「尾上邸」の改修事業などに関わる中、島内に他にも空き家になった趣のある古民家が数多くあることが分かり、維持管理や利活用を進めるため3年前に結成した。
 今回、ゲストハウスとしてよみがえったのは、「竹亭」「ロックガーデン 宿・星と海」「合宿所 塩飽窓香(まどか)」の3軒。いずれも建築から数十年が経過した古民家を改修したもので、竹亭は立石地区、ロックガーデンと塩飽窓香は釜の越地区にある。


抜群のロケーションに建つゲストハウス「ロックガーデン 宿・星と海」

抜群のロケーションに建つゲストハウス「ロックガーデン 宿・星と海」


 3軒の中で最古の1834(天保5)年の建築記録が残る旧山口邸を改修した竹亭は尾上邸近くに立地。伝統的な田の字型の間取りで、年季の入った太い柱や梁(はり)を生かすように改修しており、運営する香川代表は「調度品もできる限り再利用するなど往事の面影が感じられるようにした。ゆったりとした時間を過ごしてもらえれば」と話す。


広々とした室内でゆったりくつろげる「合宿所 塩飽窓香」

広々とした室内でゆったりくつろげる「合宿所 塩飽窓香」


 2日には島内外から約100人を招待し、内覧会を兼ねた音楽イベントなどを開催。地域住民も多く訪れ、自身も島内でゲストハウスを運営するNPO法人・石の里広島の平井明会長は「若い世代の移住を促すには必要な施設で、ありがたい取り組み」と目を細め、改修作業の中心となった「われら島活隊」の山倉康平事務局長は「島の生活文化を残しつつ、島外の人とコラボレーションする新しいアプローチ。島の過疎化を少しでも食い止めたい」と意気込んだ。
 広島では、県外からの移住希望を受け、2025年度から広島小・中学校が再開される見通し。住民でつくる讃岐広島・小手島・手島活性化協議会の白賀誠治会長は「島の活性化が手の届きそうなところまで来ている。夢物語で終わらせないように連携してさまざまな情報を発信したい」と話した。

(四国新聞・2023/07/12掲載)



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