香川県内の四国八十八カ所霊場の寺で授与しているお守りが進化を遂げている。従来とは違った素材を採用したり、若い女性も身につけやすいデザインにしたりと、これまでのイメージを覆すお守りが続々登場。各寺はこうした授与品を“入り口”に参拝客を呼び込もうと工夫を凝らしている。

 83番札所の一宮寺(香川県高松市一宮町)では、県産ヒノキを使ったカード型のお守り「mikke mamori」を同市の企画会社「higoto(ヒゴト)」と連携して開発した。
 従来の布に比べて木はデザインの自由度が高く、春は桜、夏は同寺の恒例行事「きゅうり加持」にちなんだキュウリ柄と季節限定柄を展開。企画した加藤泰弘副住職(37)は自身と同世代の女性がターゲットといい、「お守りなどをきっかけに寺に足を運んでもらいたい」と話す。


県産ヒノキでできた一宮寺の「mikke mamori」


 かわいらしいお守りで女性を中心に参拝客を呼び込んでいるのが、74番札所の甲山寺(善通寺市弘田町)。近年、お守りや御朱印帳などオリジナルの授与品を増やしている。
 同寺の本尊である薬師如来の脇侍・月光菩薩(ぼさつ)が手に持つ月をモチーフにした「月守」は念珠の房を大きくした形で、7色展開。金襴(きんらん)の生地を使った「おふく」は一つ一つ柄が違い、いずれも選ぶ楽しさがある。自分用だけでなく、家族や友人用にと複数買い求める参拝客も多いという。


甲山寺のカラフルなお守りは選ぶ楽しさがある


 限られた日しか手に入らないお守りも。73番札所の出釈迦寺(善通寺市吉原町)は、満月の日に護摩祈祷(きとう)を行い、良い気を込めた「瑞氣(ずいき)守り」を授与。満月の翌日から1週間程度のみ授与しており、県外から郵送を希望する人も増えているという。


限られた日しか手に入らない出釈迦寺のお守り


 変わった形のお守りをオリジナルで製作する寺社は、近年全国で拡大。県内でもお守りのほか、御朱印などに工夫を凝らし、他の寺社との差別化を図る動きが広がっている。

(四国新聞・2023/07/13掲載)


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