和菓子・伝統菓子、洋風に 若い女性獲得へ 老舗が続々開発
香川県内の老舗和菓子店や伝統菓子を製造する店で、商品や店舗に洋風アレンジを施す動きが広がっている。長年親しまれてきた名物商品を現代的に変身させたり、店舗に“洋”のテイストを取り入れたりすることで、これまで和菓子にあまりなじみのなかった若い女性らを取り込んでいる。
金刀比羅宮(香川県仲多度郡琴平町)の表参道にある「池商店」。境内で営業を許可された「五人百姓」の一軒で約800年の歴史を持つ。売っているのは名物の「加美代飴(かみよあめ)」だが、ここ数年で次々にアレンジバージョンを開発。棒付きのあめをドライフルーツなどで飾ったロリポップや、散策のお供にと冷やしあめのソーダなどのドリンクも提供し、参拝客の話題となっている。
「加美代飴をアレンジすることは、これまであり得なかったこと」と発案者で、同店の28代目池龍太郎さん(30)。新型コロナウイルスの感染拡大で観光客が減少し、同店が新商品を提案することで残りの4軒の宣伝にもつながればと考えたという。
栗まんじゅうの「栗林のくり」で知られる和菓子店「湊屋」(高松市寿町)は昨年、新型コロナの影響で土産物店向けの卸売りが激減したことを機に、直売を強化しようと店舗を改装。カフェスペースを設け、北欧風の空間に変えたところ、来店客数は2~3倍に。チョコレートやドライフルーツといった洋菓子の素材を取り入れたようかんも発売し、「客層はぐんと若くなった」(佐藤亮太郎社長)。
写真共有アプリ「インスタグラム」を通じて評判になっている和菓子も。高松市内の和菓子店に勤務する大内雅生さん(51)は「なまけもも」の屋号でインターネット通販を中心に自作の菓子を販売。貝殻やハートの形をした琥珀(こはく)糖や、中にチョコレートを入れた和三盆糖など新しい発想が受け、インスタグラムを通じて県外からオリジナル商品の受注を受けたこともあるという。
(四国新聞・2023/07/27掲載)