瀬戸内国際芸術祭の舞台として国内外から注目を集める小豆島で、「小豆島もうひとつの芸術祭」と銘打った美術展が、島内32カ所で開かれている。ギャラリーや美術館、カフェや寺院、書店などが、それぞれの場所で眠っていたアート作品を展示。有名作家の洋画や彫刻から店主の手作り雑貨まで多彩な“お宝”が、訪れた人を楽しい島巡りの旅に誘っている。8月27日まで。


パンフレットの作成など「小豆島もうひとつの芸術祭」の効果的な誘客について話し合う住民ら=香川県小豆島町西村、オリーブナビ小豆島

パンフレットの作成など「小豆島もうひとつの芸術祭」の効果的な誘客について話し合う住民ら=香川県小豆島町西村、オリーブナビ小豆島


 美術展の開催を発案したのは、香川県小豆島町馬木で「醤(ひしお)の郷(さと)現代美術館」などを運営する小豆島アートプロジェクトの石井純代表。小豆島では身近に飾ってある作品が、有名作家のものであることが多いことに着目し、今春から知人らに「せっかくの“お宝”を見てもらうことで人の流れを作り出そう」と呼びかけると、さまざまな業種から参加希望者が集まった。
 地域住民が主体となり、5月から同町西村のオリーブナビ小豆島などで準備に向けた会合を重ねる中、「1カ所に足を運べば、別の場所にも行きたくなるように」「土地勘がなくても移動を分かりやすく」などの意見が上がり、小豆島観光協会の協力を得て、スタンプラリーの台紙と案内地図を兼ねたパンフレットを5千部発行。島内の港や観光案内所、飲食店などで配布している。


「小豆島もうひとつの芸術祭」のために入れ替えた絵画作品などを楽しむ来館者=香川県小豆島町馬木、醤の郷現代美術館

「小豆島もうひとつの芸術祭」のために入れ替えた絵画作品などを楽しむ来館者=香川県小豆島町馬木、醤の郷現代美術館


 この企画展に合わせて作品の8割を入れ替え、110点を展示している「醤の郷現代美術館」には週末を中心に観光客らが次々と訪れている。人気が高いのは小豆島にアトリエを構えていた洋画家・古家新(1897~1977年)の作品。来館者からは「海や田んぼの色合いが自然そのもの。後で訪れたい」などの声が上がっていた。
 千葉県市川市から訪れた大学4年の松田ありささん(23)は「いろいろなジャンルの作品が鑑賞できるのが楽しい」と笑顔。小豆島町草壁本町の会社員、山崎も々恵さん(39)は「地元でも知らない場所がたくさんある。休日に巡ってみたい」と話していた。
 石井さんは「アートの力は絶大。これからも眠っている作品を探しながら、島の魅力を発信していきたい」と力を込めた。
 開館日時や入館料などは各施設で異なる。問い合わせは小豆島アートプロジェクト〈080-6725-9494〉。

(四国新聞・2023/07/31掲載)



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