香川県小豆島町田浦の二十四の瞳映画村内にある壺井栄文学館で、企画展「風鈴と言葉の涼展」が開かれている。栄の作品名などを布に染め抜いた藍色、朱色の短冊が潮風に揺れ、美しい音色が響く様子に観光客らが足を止め、ひとときの涼を味わっている。8月31日まで。


風鈴の涼やかな音色に耳を傾け、短冊の落ち着いた色合いに見入る観光客=香川県小豆島町田浦、二十四の瞳映画村内の壺井栄文学館

風鈴の涼やかな音色に耳を傾け、短冊の落ち着いた色合いに見入る観光客=香川県小豆島町田浦、二十四の瞳映画村内の壺井栄文学館


 小豆島出身の作家壺井栄(1899~1967年)の自筆原稿や愛用品などを展示している同館は、栄文学の世界を気軽に体感してもらおうと2013年夏から同展を毎年開催。栄の代表作「二十四の瞳」に登場する子どもたちの呼び名や、小説、随筆のタイトルをろうで書き、ベンガラ泥染めで仕上げた短冊を付けた鉄製の風鈴計113個を、同館の内外につるしている。
 近くの山からセミの声が聞こえる中、潮風を受けて鳴る風鈴の音色に導かれるように観光客らが訪れており、親子2人で来場した埼玉県幸手市の会社員、藤原かすみさん(54)は「次々に鳴る音が優しくて気持ちが落ち着く。短冊の色合いも栄さんの作品世界にマッチしている」と話していた。
 同展は入場無料だが、映画村の入村料として中学生以上890円、小学生450円が必要。

(四国新聞・2023/07/31掲載)


二十四の瞳映画村



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