香川県高松市を拠点に子どもたちが中心となって活動する表現集団「パフォーマンスカンパニー リトルウィング」(山本育代代表)のミュージカル公演が16日、同市玉藻町のレクザムホール小ホールで開かれる。今回はリトルウィングが受け継いだ楽譜を基にしたオリジナルの2作品を披露。海ごみの影響が広がる瀬戸内海で懸命に生きる魚の姿や、核兵器の恐ろしさをメンバー約40人が全身を使って観客に届ける。


本番を前に通し稽古を行うメンバー=高松市内


 「イノセント ふたつの物語」と題したミュージカルは、瀬戸内海の海洋環境をテーマにした「海がきれいになったなら」と、原爆が投下された1945年8月6日の広島を舞台にした「シャレコウベの子守唄」の2部構成。いずれも香川を拠点に活動した劇団R&C(旧劇団RNC)の創立者・故八木亮三さんらが70年代から制作した楽譜のタイトルで、劇中歌として使われていたという。
 八木さんの教え子だった山本代表が、演劇を通じて環境問題や平和の尊さを訴えてきた恩師の理念を次代につなごうと、楽曲のイメージから着想を得て脚本・演出を手がけた。
 第1部の「海がきれいに-」は、人間が出したマイクロプラスチックを食べた魚たちが主人公。その怒りから漁船を転覆させるが、乗船していた女の子と接することで人のぬくもりを知る-という物語。3~59歳の37人が出演し、アジやサワラ、タイなどの魚群に扮(ふん)した子どもたちが一斉にステージを駆け回るシーンが見どころだという。
 原爆が投下された広島の女子生徒や教師らを描いた「シャレコウベ-」は、舞台経験が多い小6~40代の9人が登場。戦争の悲惨さや原爆の残虐さを伸びやかな歌声で伝える。
 午後6時30分開演。入場料は一般2千円ほか。問い合わせはリトルウィング、電話087-868-7535。

(四国新聞・2023/08/10掲載)



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