瀬戸内海の島々を舞台にした現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2019」の夏会期が19日、開幕した。瀬戸内海の七つの島と高松港、岡山県の宇野港周辺を舞台に、夏会期からの新作17点を加えた158点を展示。高松市北浜町の古い倉庫街をリノベーションした「北浜アリー」では、丸亀うちわや希少糖など瀬戸内の資源をアートで表現した「北浜の小さな香川ギャラリー」がオープンし、雨にもかかわらず多くのアートファンでにぎわった。


丸亀うちわの骨を使い、瀬戸内海の潮の流れを表現した西堀隆史さんの「うちわの骨の広場」=高松市北浜町、北浜アリー

丸亀うちわの骨を使い、瀬戸内海の潮の流れを表現した西堀隆史さんの「うちわの骨の広場」=高松市北浜町、北浜アリー


 夏会期は前回(2016年)よりも11日間短く、8月25日まで。4月26日から5月26日まで開かれた春会期には、約38万7千人が来場した。9月28日から始まる秋会期は前回より8日間長く11月4日まで。

 北浜アリーのギャラリーは、今回の瀬戸芸の重点事業の一つ。県内外の作家6組が香川の特産品に焦点を当て、その魅力をアーティストならではの目線でひもといている。

 このうち、フランス出身のニコラ・フロックさんは海のプランクトンをモチーフに、観音寺市のメーカーに特注した麦わら帽子を使ってインスタレーションを展開。人工漁礁の写真と相まって海の中のような神秘的な空間を作り上げている。

 香川大創造工学部の石原秀則准教授による「うどん湯切りロボット」やブックアートを通じて希少糖の未知の可能性に触れられる作品もあり、瀬戸内の資源の新たな一面を見いだしている。

 また、会場となった島々には、午前中から多くの瀬戸芸ファンが駆け付け、海や島のしっとりとした美しさと現代美術の融合を楽しんでいた。

 会期中はアカペラコンサートのほか、直島の子どもたちが作家と共に制作した演劇や小豆島の未来について島の小中高生らが考えた演劇の公演などもある。8月21日には、高松市サンポートのかがわ国際会議場で、アートを利用した地域づくりに取り組むアジア各国の行政や企業、団体が集う「瀬戸内アジアフォーラム」も開かれ、アートの持つ可能性を探る。

(四国新聞・2019/07/20掲載)


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