国の文化審議会(佐藤信会長)は19日、高松藩主の親族、松平頼該(よりかね)の墓にあたる「本堯寺(ほんぎょうじ)松平頼該霊廟(れいびょう)」(高松市西山崎町)を登録有形文化財とするよう柴山昌彦文部科学相に答申した。同霊廟は墓石のある奥殿と拝殿を相(あい)の間でつなぐ複合社殿形式で、同形式を採用する武家の廟所は希少性が高いとされている。


国の登録有形文化財となる本堯寺松平頼該霊廟。左側が奥殿、右側が拝殿=高松市西山崎町

国の登録有形文化財となる本堯寺松平頼該霊廟。左側が奥殿、右側が拝殿=高松市西山崎町


 県教委などによると、松平頼該は8代藩主頼儀(よりのり)の子に当たる。別名・松平左近(さこん)として江戸時代後期から幕末維新期にかけて学問や芸術文化の分野で才能を発揮し、多くの著作や絵画、漢詩作品などを残した。一方で法華宗を深く信仰し、没後は法華宗寺院の本堯寺境内に霊廟が設けられた。

 霊廟は瓦ぶきの木造平屋で、建築面積は16平方メートル。卵形をした墓石「無縫塔(むほうとう)」に宝形(ほうぎょう)屋根をかけた奥殿と4畳ほどの広さの拝殿が相の間でつながっている。1868(明治元)年に建築され、1909(同42)年に改修された。

 2月に国史跡に指定された「高松藩主松平家墓所」の調査に関連し、松平家に共通する特徴的な形状の墓石や当初の姿を残す覆い屋などが再評価された。本堯寺の岡村祥光住職は「大事にお守りしてきた成果で、本当にありがたい。地域の人に広く知らせる方法なども考えたい」と喜んだ。

 登録有形文化財は、築50年以上の歴史的建造物を活用しながら、緩やかな規制の下で保護する制度。近く答申通り告示され、県内の建造物の登録有形文化財は411件となる見通し。霊廟の登録は県内では初めてという。

(四国新聞・2019/07/20掲載)

本堯寺


所在地 香川県高松市西山崎町849-1
TEL 087-885-2020


関連情報