香川県高松市在住の現代美術家川島猛さん(93)が活動の場を求め、1963年に渡米してから現在までの60年を振り返る特別企画展が23日、同市紺屋町の高松市美術館などで始まった。世界的に注目を集めた絵画や立体作品計28点をはじめ、同市内にあるさまざまな施設のパブリックアートの映像などが放映され、来場者を圧倒している。11月12日まで。


学芸員と共に自身の作品に見入る川島さん(左)=高松市紺屋町、市美術館


 今展は同館の開館35周年を記念するとともに同市内に点在する川島アートの魅力を広く知ってもらおうと、同館常設展示室1とエントランスホール、高松丸亀町商店街の市美術館ブランチギャラリーで開催している。
 このうち、常設展示室1では同館所蔵の絵画を中心に展示。格子の中に男女の生殖器を抽象化した代表作「レッド・アンド・ブラック・シリーズ」(60年代)や、帰郷した2016年以降に制作を続けているダイナミックな渦が特徴の「宇宙シリーズ」などを年代順に取り上げている。
 エントランスホールでは、川島さんが手がけた高松国際ピアノコンクールのポスターや市内にあるパブリックアートなどをスライドで紹介。06年に高松丸亀町商店街が再開発された際、川島さんは壱番街前ドーム広場の床面デザインなどを担当しており、当時の設計図や写真も公開している。
 ブランチギャラリーでは金属を用いた立体造形作品などが並び、買い物客らの視線を集めていた。同市宮脇町の公務員林実紀さん(32)は「街で目にする多くの作品が川島さんによるものだと知れて感動」と笑顔。川島さんは「多くの人に見てもらえてうれしい。アートを身近に感じて興味関心を抱くきっかけになれば」と来場を呼びかけた。
 川島さんは53年間、米国で活動。1965年に発表した「レッド・アンド・ブラック・シリーズ」は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のパーマネントコレクション(永久収蔵作品)になるなど国際的な評価を得ている。

(四国新聞・2023/09/24掲載)



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