「歴史」と「地域」の二つの視点から香川県内での映画受容の移り変わりをとらえる秋の特別展「映画のレシピ」が10月7日から、香川県高松市玉藻町の香川県立ミュージアムで開かれる。映画が県内に初めて紹介されてから120年以上。貴重な機器やポスター、音楽に至るまで約160点の資料で香川の映画史をたどる。同ミュージアムなど主催。11月26日まで。


高松市内町にあった「グランド劇場」(辻清州氏蔵)


 日本で初めて映画が上映されたのは1896(明治29)年。県内では翌97年、映画上映に関する最も古い記録が「香川新報」にあり、同年ごろから一気に庶民の娯楽として浸透したとみられている。
 特別展では、映画の初期に用いられ、日本に数台しか残っていないとされる「シネマトグラフ」の機器や、1999年に閉館したライオンカン(高松市百間町)で実際に使われていた映写機など、技術史上も貴重な機器を公開。現存最古の日本映画「紅葉狩」や、映画の父・リュミエール兄弟の作品など貴重な映像も会場内で放映する。


「ライオンカン」が閉館まで実際に使用していた映写機(県立ミュージアム蔵)


 小豆島で長期ロケをした「二十四の瞳」、栗林公園で撮影した菊池寛原作「受難華(じゅなんげ)」など、県ゆかりの映画のポスターや雑誌記事、ロケマップなども見どころだ。
 また県内には60年ごろ、およそ120館もの映画館があったとされ、それぞれの地域で特色のある建物が愛された。46(昭和21)年開館の「南座」(同市南新町)、丸亀日劇(丸亀市)、金子座(三豊市)など、賑わいの様子を写真でめぐる。
 入場料は一般800円ほか。65歳以上と高校生以下は無料。問い合わせは香川県立ミュージアム、電話087-822-0247。

◎関連イベント
■学芸講座「映画のはじまり~香川県を中心に~」 10月14日午後1時30分~ 先着72人
■講演会「無声映画の“音”の世界」 10月21日午後1時30分~ 四天王寺大学人文社会学部日本学科講師・今田健太郎氏 先着230人
■小学生ワークショップ「子どもカツベン!」 10月29日午前10時~(午後から公演会) 活動写真弁士・片岡一郎氏 小学生15人(申し込み多数の場合は抽選)
■片岡一郎&小学生による活動弁士公演会 同午後1時30分~ 先着230人
■学芸講座「映画館での火災をふせげ! 香川の映画館と防火の歴史」 11月19日午後1時30分~ 先着72人
■ミュージアムトーク(申し込み不要)10月8、22日、11月5、12、25、26日の各午後1時30分~
 小学生ワークショップのみ、往復はがきに氏名、住所、電話番号、ワークショップ名を明記の上、高松市玉藻町5番5号 香川県立ミュージアム学芸課まで(10月13日必着)。県電子申請・届出システムからも申し込める。小学生ワークショップ以外の申し込みは、電話または県電子申請・届出システムで。

(四国新聞・2023/10/02掲載)



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