ガラス作家・杉山利恵(高松)個展 香川県産素材原料に水表現 高松市塩江美術館 22日まで
香川県高松市のガラス作家杉山利恵の個展「Birth…then…Full」が、同市塩江町の市塩江美術館で開かれている。庵治石の粉末とオリーブの葉を原料に着色したガラスで波紋などを表現した作品が並び、みずみずしい空間を創り出している。22日まで。
杉山は会社勤務などを経て30代で作家活動の道に進むことを決意。富山ガラス造形研究所(富山県)在学中に庵治石の粉が原料の青いガラスを、2020年にはオリーブをガラスに溶かした緑のガラスを考案した。今年で工房を構えて10年を迎える。
今展では約20点を紹介。このうち「Hamon―すべては、その一滴から―」は、滴がしたたり波紋が広がっていく様子をざらめ状や粉状のガラスで表現。独自の技法で制作した天井からつるした滴は、天井に近づくほど針先のように細くなっていき、長いもので3・5メートルもあるという。
あふれる寸前の器に最後の一滴が落ちる場面を表した「Full―そして…満ちる―」や、「流れ」をテーマにした「Flow」シリーズなどもあり、杉山の豊かな感性とガラスの表現の可能性を感じさせる。
杉山は「波紋と波紋が影響し合って何かが生まれるのが人間の営みと思う。自身と重ね合わせながら鑑賞してもらうとともに、技法の多様さにも注目してほしい」と話している。
観覧料は一般300円ほか。問い合わせは同館、電話087-893-1800。
(四国新聞・2023/10/12掲載)