巨大曼荼羅、荘厳に 総本山善通寺 200年ぶり公開開始
香川県善通寺市の総本山善通寺(菅智潤法主)の金堂で7日、真言密教の世界観を絵画化した2軸の巨大曼荼羅(まんだら)「両界(りょうがい)大曼荼羅」の公開が始まった。光背を含めた高さ約6・6メートルの本尊・薬師如来坐像の両側に、装丁部分を含めて約5メートル四方の曼荼羅が掛けられ、その荘厳さと迫力に参拝者たちは目を奪われている。拝観無料。12日まで。
巨大曼荼羅の公開は弘法大師空海の誕生1250年記念行事の一環で、同寺で実施するのは1823年以来200年ぶり。「胎蔵(たいぞう)界曼荼羅」と「金剛界曼荼羅」から成り、それぞれ江戸後期に原在中(はらざいちゅう)と長谷川賀一(かいち)の2人の画家が描いた。空海が監修したとされる現存最古の両界曼荼羅「高雄曼荼羅」(9世紀、国宝)を、ほぼ同サイズで転写している。
金堂では、本尊の向かって右側に胎蔵界を、左側に金剛界を向かい合うように設置。それぞれ大日如来を中心に、胎蔵界には409体、金剛界には1461体の仏や菩薩(ぼさつ)などが金銀の線で精緻に描かれている。
参拝者たちは金堂に足を踏み入れた瞬間、本尊と曼荼羅の存在感に目を見張り、感嘆の声を漏らした。夫婦で訪れた愛媛県新居浜市の日野慎也さん(53)は「すごい。ここまで大きい曼荼羅はなかなか見られない。思わず手を合わせたくなった」と話した。
公開は午前7時から午後5時までだが、天候の影響で中止されることもある。11日午後2時からは同寺遍照閣で、松岡明子・瀬戸内海歴史民俗資料館長が巨大曼荼羅についての講演会を行う。無料。
(四国新聞・2023/11/08掲載)