テキスタイルデザイナーの須藤玲子さん(70)=茨城県出身=の作品を集めた企画展「須藤玲子:NUNOの布づくり」が、香川県丸亀市浜町の市猪熊弦一郎現代美術館で開かれている。思いがけない素材を使ったり、伝統的な職人技と最新の工業技術を組み合わせたりして織りなした現代のテキスタイル(生地)の数々を展示。工場での制作過程なども紹介しており、来館者の注目を集めている。


ゲートプラザで来館者を迎える巨大テキスタイル作品=香川県丸亀市浜町、市猪熊弦一郎現代美術館

ゲートプラザで来館者を迎える巨大テキスタイル作品=香川県丸亀市浜町、市猪熊弦一郎現代美術館


 須藤さんは東京造形大学名誉教授で、日本の伝統的な染織技術から現代の先端技術を駆使し、新しいテキスタイルづくりを提案。作品はニューヨーク近代美術館やボストン美術館、東京国立近代美術館など世界の名だたるミュージアムに収蔵されている。
 今回の企画展は、2019年に香港のミュージアム「CHAT」が企画して開催。以降、21年にイングランドとスコットランド、22年にスイスを巡回し、日本では猪熊美術館での開催が初めて。
 展示では作品の紹介に加え、「七つのミニ工場」と銘打ち、須藤さんの代表的なテキスタイル7点について、制作工程を音や映像を交えて抽象的に再現した、まさに「種明かし」のインスタレーションを公開。猪熊弦一郎が描いた顔の絵を刺しゅうで表現した同館ならではのコラボレーション作品も制作した。


猪熊とのコラボレーション作品を解説する須藤さん

猪熊とのコラボレーション作品を解説する須藤さん


 また、猪熊の巨大な壁画やオブジェが飾られている美術館入り口のゲートプラザには幅18・9メートル、高さ9・6メートルの巨大テキスタイル作品がつるされ、来場者を出迎えている。須藤さんは「世界を巡ってきた展示を日本で見てもらえるのは込み上げてくるものがある。その会場が、大好きなこの美術館であることも光栄」と話している。
 期間は12月10日まで。月曜休館。開館時間は午前10時~午後6時。所定の観覧料が必要。問い合わせは同館0877-24-7755。

(四国新聞・2023/11/16掲載)


丸亀市猪熊弦一郎現代美術館



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