カステラなどの食品やキリスト教といった西洋文化が伝来した16世紀ごろ、日本に伝わった可能性があるポルトガルやオランダなどの楽曲を奏でるコンサートが23日、香川県高松市で開かれる。往時の楽譜を現代版に書き直して香川と英国の歌手が再現する取り組みで、豊臣秀吉に披露したと伝わる曲も含まれる。コンサートの実行委は「西洋音楽に初めて触れたであろう当時の日本人の感動を想像してほしい」としている。


チェンバロの伴奏で歌唱練習に取り組む出演者=高松市内

チェンバロの伴奏で歌唱練習に取り組む出演者=高松市内


 約500年前の西洋の音楽文化を紹介するとともに、県内外の演奏家の交流を図るのが目的。地域に息づく音楽文化の研究に取り組む声楽家の若井健司香川大教育学部教授らを中心とする実行委が企画した。
 若井教授は長崎を舞台にしたオペラ「蝶々夫人」のように、日本ゆかりの海外作品について調査を行っており、英国の友人で研究者でもある声楽家ティローン・ランダウさんに相談したところ、大英図書館などに所蔵されていた南蛮文化時代の楽譜を現代版に書き直して活用することになった。
 往時の音楽について若井教授は「宗教上の厳しい制約や、強い勢力を誇っていたスペインへの対抗心がにじむ曲もあり、当時の欧州の社会情勢がうかがえる」と説明する。
 コンサートにはランダウさんと若井教授ら声楽家6人とチェンバロ奏者が出演し、欧州5カ国の20曲を奏でる。このうち「千々の悲しみ」は、欧州諸国に派遣された天正遣欧少年使節が秀吉に披露したとされる歌曲で、今回はソプラノ二重唱で聴かせる。ほかに、イタリアの作曲家だったガリレオ・ガリレイの父親が手がけた舞踏曲も選曲。使節団が訪問先の舞踏会で鑑賞したと伝わっており、チェンバロ独奏で再現する。
 出演者は次の通り。(敬称略) ランダウ、若井、綾智成(以上テノール)水嶋育、杉ノ内柚樹、斎藤愛(以上ソプラノ)、大山まゆみ(チェンバロ)

 【メモ】「『南蛮の歌』コンサート」は高松市玉藻町の県立ミュージアム講堂で午後2時開演。入場料は一般1500円(前売り千円)ほか。かがわ文化芸術祭の参加公演。問い合わせは若井さん、電話090(4507)5308。

(四国新聞・2023/11/20掲載)


開催場所 香川県立ミュージアム講堂
開催日時 2023/11/23(木)
開場13:30
開演14:00
入場料 一般1500円(前売り1000円)
学生1000円(前売り500円)


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