香川県内のさまざまなジャンルの芸術家でつくる「県美術家協会」(東原吐雲会長)の作品展が、香川県高松市紺屋町の市美術館で開かれている。第一線で活躍するベテランから若手まで多様な作家が新作や代表作を出品。会場には、制作者の探究心を肌で感じられる空間が広がっている。17日まで。


香川県内の作家が手がけた力作を鑑賞する来場者=香川県高松市紺屋町、市美術館

香川県内の作家が手がけた力作を鑑賞する来場者=香川県高松市紺屋町、市美術館


 同協会は、県内の芸術家同士の親睦や文化振興を目的に1966年に発足し、現在は約330人が所属している。作品展は2年に1回程度開催しているが、市美術館では初めて。作品展は6部門で構成し、日本画17人、洋画50人、彫刻5人、工芸16人、書69人、写真14人の計171人が1人1点ずつ出品している。
 洋画部門では、大作を中心に個性あふれる抽象画や写実的な作品がずらり。同協会役員の真鍋茂明さんの新作「海辺に立つ」はあえて自身の後ろ姿を描き、どんな人物なのか想像力をかき立てる作品に仕上げたという。工芸部門は陶芸や染色、漆芸などを紹介。瀬戸内の海や空、風を表現したつぼや石鎚山をモチーフにした型染め、輪廻(りんね)をテーマにした彫漆(ちょうしつ)箱など多彩な分野の作品が並ぶ。
 また、書部門では東原会長が墨のかすれや余白が印象的な前衛書「無題」を展示。会派を超えたかなや漢字、篆刻(てんこく)を鑑賞できる貴重な機会となっている。
 坂出市で書道を指導している大木三枝子さん(75)は、「時間をかけて丁寧に描かれた絵画の奥深さに触れられて感動」と一つ一つの作品に見入っていた。
 今展は「かがわ文化芸術祭2023」の参加行事として実施。入場無料。問い合わせは同館、電話087-823-1711。

(四国新聞・2023/12/15掲載)



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