香川県善通寺市弘田町の四国霊場74番札所・甲山寺(大林教善住職)は、今年の干支(えと)「辰(たつ)」にちなんで、国内外で活躍する現代書家・岡本光平さんがふすまや屏風(びょうぶ)に描いた竜神の絵を1日から特別公開する。讃岐の地に恵みの雨をもたらしてきたと伝わる竜神が、墨痕鮮やかに舞う姿を見ることができる。3日まで。


壁やふすまに描かれた竜神について説明する大林住職=善通寺市弘田町、甲山寺


 岡本さんは東京在住の書家で、空海研究者としても知られる。四国霊場開創1200年に合わせた2015年、弘法大師空海が日本に持ち帰ったとされる書体「飛白(ひはく)体」を用いて、同寺客殿の屏風や漆喰(しっくい)壁に竜神や般若心経を大書した。
 今回公開するのは、「飛白雲龍図」と「飛白雲龍飛天図」。このうち飛白雲龍図は、壁とふすまを合わせて幅10メートルを超える大作で、空海が修築した満濃池にいるという竜神を、壁から飛び出すかのようにダイナミックに表現している。
 飛白雲龍飛天図は六曲一隻の屏風絵で、天人である飛天と竜神が時空を超えて舞うイメージで描かれたという。このほか辰を守護神とする十二神将で、通常は非公開の波夷羅(はいら)大将像も特別に公開する。
 公開は午前9時~午後4時で、拝観料500円(中学生以下無料)。大林住職は「竜神は、雨の少ない香川にたくさんの恵みを与えてくれ、空海にも縁深い存在。お参りした人に恵みある一年になれば」と話している。

(四国新聞・2024/01/01掲載)



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