建築家・丹下健三(1913~2005年)が手がけた県庁舎東館(旧本館・東館)に関する建築資料などを紹介する常設展「香川の建築アーカイブ」が、香川県高松市玉藻町の香川県立ミュージアムで開かれている。丹下の下で県庁舎の設計に携わった建築家・神谷宏治(1928~2014年)が残した図面などが並び、人々に寄り添った建築物を完成させるまでの試行錯誤を来場者に伝えている。4月7日まで。


香川県庁舎東館に関する建築資料などが並ぶ企画展=香川県高松市玉藻町、県立ミュージアム

香川県庁舎東館に関する建築資料などが並ぶ企画展=香川県高松市玉藻町、県立ミュージアム


 東京出身の神谷は、東京大建築学科卒業後、同大大学院で丹下の研究室のメインスタッフとしてさまざまな建築設計に取り組んだ。今展では図面など22点のほか、神谷が撮影した写真なども紹介している。
 会場には、県庁の南庭の設計を任されていた神谷が製作した5パターンの庭の模型や、竣工(しゅんこう)式の様子を収めた写真などが並んでいる。1958年の竣工当時の庁舎を再現した100分の1サイズの模型もあり、当時の写真と模型を見比べると細部まで確認できる。
 また、神谷が独立後に設計した沖縄国際海洋博覧会(75~76年)の「外国館」や、複合施設型の設計を先駆的に取り入れた「川崎市民プラザ」(神奈川県川崎市)、集合住宅「コープタウン松が谷」(東京都八王子市)の図面や写真も展示。利用者のニーズに応えようと創意工夫を凝らしたことがうかがえる。
 担当学芸員の日置瑶子さんは「当時、建築に関わった人々の情熱やアイデアを知ってもらい、今の暮らしに生かしてもらえれば」と話している。
 入場料は一般410円ほか。問い合わせは香川県立ミュージアム、電話087-822-0247。

(四国新聞・2024/02/01掲載)


香川県立ミュージアム



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